正体見たり!
各段に閲呉隊の特記戦力の閲呉、惔倹、饗場、馬路はその身体能力の優れた事もあり、四飛と呼ばれるようになっていた。少し女性でもあるし、軍師訳の燕尾は飛翔力的には劣ったが、山岳集団とは大きな諍いは無くなり、やはり拉致した者を粗末に扱わなかったので、こちら側には完全なる敵意は無い事位は伝わったのだろう。そして、彼らの重要な食糧源に手を出す事も無くなった事で、乾坤一擲の準備を進めていたのだが、どうやら止まったようだ。そして、岩山の険しい場所に大きな祠のような所を見つけ、そこで駐屯出来る体制も確立した。周囲には山岳集団は立ち寄る事の出来ない険峻な岩場であり、室蘭が率いる集団から見れば、そこがいかに安定し、住みやすい場所であった事も再認識出来た。山岳集団は何故にその厳しい山中で生活をしているのかは、この後に何度もかなり山腹周辺まで飛翔する閲呉四飛がその証左となるような、また奇妙であり、これまで見た事の無いような生体を発見したのである。
「あっつ!」
声を上げたのは先頭を飛翔する馬路だった。続いて惔倹が声を上げる
「うっつ!」
単語だ。それは驚きの声以外に無い。赤褐色の斑模様をした細長い体躯に、長い口、そして体中に突起状の疣を持ち、グネグネと体をくねらすように、地面を這っているのだった。
そして、それは見た瞬間にも恐怖にも似た危険なものを感じたのである。歴戦の彼らがそんな気持ちになる程のこれも怪物?魔物なのだろう。間違いなくだ。
「離れろっつ!」
閲呉が後方から声を出す。その途端に、
しゅるしゅるしゅるーーーっと、その長い口から真っ赤の下がべろんと伸びて来たのだ。
「うおおおおっつ!」
馬路がもう少し身体能力が劣っていたら、それにやられてだろう。かろうじてそれを避けると、閲呉が背後から飛矢を撃った。しかし、その怪物?は、難なくそれをはねのけると、ぐううんと、首を伸ばしたのである。
再び飛翔隊に危機が迫った。
「なんだ・・こいつは」