奇妙な敵が出現した!
こうして、激しく二人は戦い合ったのである。しかし、命をとるまでのものでは無かったが、それを背無理が止めのだった。
「止めろ。そんな争いをしている時か、見ろ、この山岳集団を。こちらに向かって攻撃態勢を整えているようだぞ?」
「え!こっちに向かって?山岳集団の一人を拉致して来たからですか?」
「違う。今馬路が言っていただろう。天鳥は彼らの重要な食糧源なんだ。楽理もな。それを横取りする我らは完全なる敵なんだよ。それは、分かるだろうが?衛琉よ」
「え・・あ・・」
衛琉は黙った。その狙いが完全に相手を戦闘に引き込む者である事が分かったのだ。
「いずれも、丸々と太り魔人達は肥満な体になり、二本足を支えられなくなり、四本足になっている。これは、食性と言うのがいかに大きい事かと証明しているんだよ。我らは両方を食する。それは山岳集団もそうだ。自分達の安定した食が無くなればどうなる?互いに命がけの戦いしか無いだろうが?」
背無理は有能な武将だ。説得力もあった。
「お前・・それなら馬路と共に閲呉の部隊に混じれ・・それで山岳集団と戦って来い」
何と、背無理はそう指示したのであった。
「ふ・・」
衛琉にはその意味が分かった。この平和な状態が続けば、戦士としての状態でずっと緊張状態であった者は気持ちも緩む。そして、馬路はやはり武将なのである。戦いに対するいらいらや、持って行き場の無いそのもやもやしたものを、良からぬ方向に揺らいだ気持ちで来た事を見抜いたのである。この背無理も十分に室蘭を加太と共に補佐するに力量を持っている男であった。
こうして、閲呉の部隊に又強力な武将が加わった。すぐ飛翔術をマスターするや、山岳集団などは、空挺部隊でこちらに向かうな、そして奪う気等無い意志を示し、戦うのは今では無いと言う事を燕尾が指示すると、口をあんぐり開ける馬路に、閲呉は言った。