奇妙な敵が出現した!
「む・・」
その姿は、殆ど自分達と変わらないものであるが、彼独自の勘がそこで働いた。初めて勇猛果敢で成る閲呉が、危険と感じたのである。そして、そこには茶色の岩肌と斑に生える何の植物系のものかは分からないが、少し棘のあるぐにゅぐにゅと四方に延びた枝がある青緑色のものが点々とあって、その身を隠すのには丁度良さそうな大きさであり、茶色とその青緑色の斑模様の戦闘服?或いは武装をしているのだ。それは、確かに良く見なければ分からないし、今まで殆ど夜の探索を主体に置いており、天鳥を捕らえる事も行っていたので、その姿を見る事は少なかったのだ。確かにその対象も閲呉達を観察しているようだった。しかし、同じ人型の生体ならば、眼前でばりばりと音を立てて生身のままで食う事が可能だろうか。そんな疑問を持ちながら、ここは、そのまま任務を終えて戻って来た。
「同じ人型に見えたの?」
「ああ、一瞬だが、迷彩色の服装のように見えた」
「迷彩色って初めて聞くけど?」
「あ・・無意識にそんな言葉が出たが、茶色と青緑色の斑で、燕尾が良く周囲の色に溶け込むような偵察隊に着せる武装があるだろ?一度迷彩って言う言葉を使った」
閲呉のこれも記憶力の高さを燕尾は感心しながら、
「成程、その表現は良く分かるわ。じゃあ、こっち側も観察された訳ね?あちらからの攻撃も無かったと」
「ああ、様子を見ているんだろうな、こっちもそう近づく事もしなかった」
「じゃあ、その辺に住んで居る可能性は高いわね」
「前の飛翔隊がやられたと言う状況が戻って来た者に聞けないかな・・これは抜燐殿が固く口を閉ざしているんだ。燕尾、お前しか聞けないだろ?」
「え・・うーーん・・難しいけど、聞いて見る」
燕尾は困った顔をした。抜燐が聞きに行くが、けんもほろろの対応だった。
「話す事など何も無い。何故にしつこく聞くのだ。それにその飛翔隊の者は眼前で仲間をやられた恐怖心を持っていて、話せる状況では無いのだぞ?」
「会わせて貰う事は出来ないと言うのですね?」
「今言ったでは無いか、そう言う事だ」
抜燐は頑強に拒むのであった。
「確かに敵らしき姿を捉えたのですが・・」
「何!何時の間に・・」