奇妙な敵が出現した!
「それだけは確実よ、閲呉」
「一体だけでも捕獲、或いはどうにか確認出来ないものかな、ううーーん」
「それは、恐らく相手もそうだと思うのよ。しかし、既にこちらは殺られているし、眼前でばりばりと食われている」
「おい、だからな?眼前で食われたのに、何で正体が知れないんだよ」
閲呉が突っ込んだ。
「それが・・姿が見えないのよ、おぼろにしか。周辺が靄に包まれているようで、その中に引き込まれて音だけが聞こえると言う・・」
「それ・・俺達が、何度か今の天鳥羽で飛んだよな?そして、飛翔隊は新に編制された。俺は一度だけ、何か妙な気配がして振り向いた時に、岩山のあちら側に中腹辺りでがさがさと音がしたんだ。前の飛翔隊の数人が確か殺られた事と関連しているのかも知れん」
「じゃあ、今の翼に改良してからは殺られていないって事ね?」
「ああ・・それに天鳥は、夜こそ山上でじっとしているが、昼間は結構飛ぶのも早いんだよ。上空には俺達は風が強くで飛べないが、その中にも飛び上がるんだよな」
「その辺・・関連あるかも知れないね、閲呉」
燕尾も何かを感じたようだ。
「良し、そうなら飛翔隊を数人単位で、探索しよう。俺達に駄目と言う者は居るか?」
閲呉が我利を見つめた。ご注進役なのは知っている。しかし、彼は首を振った。
こうして、数回に分けて、どうやら岩山のあちら側中腹あたりに何かがあると言う探索を行う事になったのだった。燕尾は、
「用意は怠らない方が良い。矢吹=手裏剣のようなものだが、これを持たせよう。これの得意な者を指名して」
「分かった。それは必需武器だな。他には?」
「深追いは厳禁。敵は確定しているけど、何者かも分からない。どんな攻撃をして来るかもわからないので、なるべく接近せず、発見したら、ぐるぐると円周上に飛び、その観察をして」
理に適った指示であった。こうして閲呉は、惔倹、饗場を伴い自分も入れて3人の隊長格を指名し、偵察隊を組織し、すぐに怪しいと感じた付近へ向かうのであった。昼間が最も適しているだろうと考えた。何故なら天鳥は活発に岩山上空を飛んでいるからだ。
彼らはある種の戦いと言うものの本質を、実践から身につけて来たのでは無いか。誰に教わった事でも無い。そして、自然とそう言う行動を起こすのである。
そして、数回目の飛翔時の事だった。閲呉の眼はその対象を少し捉えたのであった。




