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魔界との戦い  作者: 白木
303/306

本当の魔界とは・・

「彼等に食糧を与えてはどうだろうね」

「何・・?食糧を与えるだって?」


 ガリが眼を剥いた。


「どうやら攻撃的な住民では無さそうだよね。とは言え分からないけど、もう少し情報を集める為には彼等の習性、言語らしきものも解析しなければならないと思う。ガリ部隊長の傍には遠目が効く者と、聞き耳の者が居る。もう少し観察して見てはいかが?彼らは危険を察知しながらもガリ部隊長が放った矢によって落下した大鷲を採りに来た。つまり、彼らには食が一番重要なものと思うんだ。そして季節的に飛虫はこちらには余り飛ばないので、食にはかなり苦労しているのでは無いのかな。道中にも木の実や、食糧となる植物も多く無いように思ったしね」

「ほほう・・つまり飼い慣らすと言うのか?」


 エツゴがまた飛び抜けた発言をした。


「え!そこまでは・・僕も」

「はは・・やって見よう。それが案外この南の山岳を、無傷で索道の出来る話になるかも知れない。エバが幾つかもう言語を訳し始めている。その価値はあろう。こちらには今は十分に食がある。そして、この食を与える事は彼等の警戒心を解くものになるかも知れないからな」


 こうして、即座にその事は決まった。これがエツゴのやり方なのだ。型は無い。しかし、ユウゴは自然にエツゴの考えを具現化出来るような軍師では無いが、側近の重要な者として存在感を高めて行った。決して彼らが徹底しているのはエツゴの前に出ない事であった。

 この作戦は実に見事に成功するのであった。こうして南の山岳民族は穏やかな者達であり、攻撃的では無かった事から、当初は高度な仕掛けと見ていたアラルガの繭及び、その尻から出る蜘蛛の糸同様の物が粘着質を持ち、所謂鳥もちの役目をする事も分かった。こうして彼らは厳しい環境で生き抜いて来たのだ。言語は単調で30の「チ」を組み合わせた伝達方式であり、人族としての知識レベルは決して高く無かったが、ほぼ半年位で南の山岳まで開通する道が出来たのである。そして、広大に広がる平原も眼下に発見すると、もう現上原族においては、更なる試練に対抗出来るべき準備が整いつつあった。

 そして北の馬賊との遭遇は、最初から激しい戦闘になった。すぐエツゴはカブト、セムリ軍をその応援に行かせ、ビゼンが軍師としての指揮を執っていた。これぞ、軍師ビゼンの本領たるや、その馬賊の中核の武将を生け捕りにしたのであった。何重にも巡らせた囮に対し、執拗にこの武将は追って来た。とにかく眼の前の者は殲滅させると言う攻撃一辺倒のこの馬賊はかなり兵も居て、当初はブッタン、キガが苦戦した。しかし、彼らは無謀な戦いはしないので、敵の力量を確かめ、ビゼンに細かく報告をしている。傷は負ったが、ここに参戦していたゴラーが、その薬湯を与えると彼らは瞬時に回復した。ゴラーが今度は先頭に立つと、中核の武将を幾人も叩き斬ったのである。


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