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魔界との戦い  作者: 白木
302/303

本当の魔界とは・・

「また、来たよ」


 エバが突然言った。


「え?ノノ、お前にも聞こえているのか?」


 ガリが聞く。しかし首を振った。


「エバ、お前には聞こえるのか、南の住人の通信が」


 エツゴが驚いた。エバの耳が優れているなんて情報は、親である自分でさえも知らなかったからだ。


「違うよ、がさがさと言う木を揺らす音が聞こえた。ノノも分かるでしょ?」

「ええ・・あ、はい。それなら確かに」


 ノノは頷いた。


「成程・・エバの集中力はやはり並みでは無い。こちらはもう少し静かにしていよう」


 エツゴがまた小声で告げる。

 確かにその音であれば、通信のみに集中していたノノとは違い、エバの聞いた音は抜き足、差し足で近づいている南の山岳民族を感知出来た筈だ。


「やはり、獲物を得る目的だろうな、ガリが矢を放ったのは大型の鳥だった。つまり、あの網には滅多に引っかからないものだっただろうし」


 ちょうどその頃、ビゼンも北に向かっていた。その伝達も向かっている途中で聞いている。かなりの馬が棲息しているらしい、北のオアシスのような場所であるが、そこに今度は北の民族が来ているらしいと言う事だ。こっちは、はっきりしている事がある。その存在が確認されていて、戦闘民族だと言う事だ。ウレイが一時組んだ民族とはまた別の集団であり、相当な攻撃性を持つと聞こえて来た。それはヒリュウが一度東上原草原の奥で、上原軍と戦闘になったからだ。こちらは旅団的なあちこちの集団を襲い、その領地を奪う、山賊的な性格の者達だと言う。そして、結果的には上原王であるビドウが撃退させ、その結果としてビドウが初代上原王となったのだと言う。だから戦闘民族として彼らは強いと言う事を聞いている。ビゼンの戦闘力は決して高くはない。ブッタン、キガを同行させているのは、彼等は豪将では無いものの、優れた戦士達だ。滅多な事で倒されはしないだろうと思われる。エツゴの信頼も厚い者達だからであった。

 そして、南の状況は・・ユウゴが大胆な提案をしたのであった。


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