再出発までの準備
そして、しばらくして、閲呉が羽で織り上げたものを試翔しようと言う段階になって、抜燐の側近がそれに気づいた。
「何?閲呉が天鳥の羽を集めて、飛翔する用に作っただと?何時の間に」
すぐ抜燐が自分の弟子である燕尾を呼んだ。
「燕尾、天鳥の羽を集めて飛翔する翼を制作しているのは確かか?」
「ええ、そうですけど、何か?」
「むう・・飛翔隊はもう組織している。なのに、お前達閲呉隊がそれを制作するのは何故だ?」
「うふふふ、お師匠様、おかしな事を仰いますね?」
燕尾は笑った。
「何がおかしいのか?」
抜燐は首を傾げた。
「我々は、自分達の意志でそうしようと思いました。制限があったのですか?その事に」
「いや・・各隊にはそれぞれに守護や、飼育、製造、探索の役目はおぼろに決めては居るが」
「その探索隊である閲呉隊に、飛翔的な修練は必要ないとでも言われるのですか?」
「む・・燕尾、お前は我の話を逆手にとったような言い方をする。それは含みのある言葉なのか?」
流石に抜燐は何かを感じてそう質問をした。
「ならば、我らに黒魔暗路の探索に派遣し、怪物を仕留めました。そして、尚その先を継続して命令なさらないのは何故でしょう?」
「それは・・あの暗路が危険と言う事はお前達も分かっている筈だ。故に得体の知れない怪物がこちらに進出して来ないように防御と、攻撃をも兼ねて今は少しずつ暗路を広げている所なのだ。そして、楽理の油を利用した灯かりを開発し、桧葉を使用せずとも効率の良い方法を編み出したのだ」
「我々には知らされていませんでしたね?それは」