再出発までの準備
「まさかですよ・・ふふ」
「な?だろ?不思議な事は一杯で、つまり肉食と草食って言うのは、根本的に体の作りからして変わるらしい。まあ・・抜燐殿の受け売りだがな」
「で?何を捕まえたんすか?殺さず捕まえるってのも難しいとは思うんすが」
「おう、こっちが先だな」
加太が桧葉で編んだ籠に入った、今まで見た事も無い生体?怪物では無さそうだが・そんなマム=メートル程ある個体を見せた。頭に赤いひらひらがあり、体は茶色で羽毛が生えている。表現するとまさに鶏そっくりの生体なのだった。
「これって・・変な生体っすね」
「ああ・・そう抵抗もせずに捕まった。岩山の上で生息しているようで、こちらには余り生えているのが見た事も無いけどな?果肉植物のようなんだ。それを主食にしているらしい」
「じゃあ、草食って事っすか」
「だろうな、そして、卵を毎日産むんだよ。だから、桧葉を与えていたら、それでは足りないようなんで、その果肉を毎日採って来て与えている。めんどくさいから試しにその辺に植えて見たら、結構生えるんだよ、その辺でな。成長も早いし、そこら辺に今は植えてある。楽理って名前をつけた。そして、こいつの名を天鳥とした。卵が結構美味いんだよな」
「じゃあ、黒、緑、白魔と一緒に飼育するんすか?」
「そうする事に決定したようだ。室蘭大将が決めたんでな」
頷きながら、それはまあ新たな食糧が可能になったと言う事で、別に食うのに困っている訳では無かった。あっち側の情報なのだ、知りたいのは。だが、詳細は出て来なかった。
がっかりしたように燕尾と自分の隊に戻る閲呉だったが、
「気づいたんだけどね?閲呉」
「ん?何を」
「あれ・・何か隠してるよ、きっと。あんたにまだ知らせたくない情報があるんじゃないの?」
「まあ、お前が抜燐さんと一番近い弟子の間柄だったからなあ、で?何を隠しているって?やっぱり岩山の向こう側の情報か?」
「あれからね、あの暗路はどんどんと、壁を作って行っている。知っているよね?」
「ああ、あちら側から魔物が侵入させない為だし、どんどんとその壁を前進させていると言う事だろ?」
「知ってたんだね?閲呉は」




