再出発までの準備
それから、抜燐がある者達のトップになる。そこは一種の研究・開発部門のようだった。そこで、かなり知恵のある者がとうとう一緒になり、集団的な人としての生活環境が整うにつけ、自然にそう言う形が出来上がった。
「実際のトイを考えた。飛翔隊が最近では岩山の上まで飛び、幾つかの平坦な場所から向こうに続く所を見て来ている。推定に過ぎないが、あの暗路の距離は、20トイと思われる。前回進んだ距離は10トイで、約半分だった事と、遭遇した黒い化け物に相当の燃料を使ったからな、それで断念して戻って来たと言う事からもそう推察した」
そう言う抜燐に、既に公然化している閲呉の妻同然の燕尾は、
「今回、危険も感じて退却しましたが、まだあのような黒い化け物は居ると見て間違いないですよね」
「居るだろうな・・卵を焼いたと言う事は、相当の子孫が居ると見て良い。また、暗路が一本では無いし、枝分かれしている事も想定した方が良い。そこまでは一本だった事は分かってはいるものの、真っすぐでは無かっただろう?広くなったり、狭くなったり、横にも空間が幾つもあったと報告がある」
「はい。そうです」
「だとすれば、天井や、壁にも10本も足があるんだ。へばりついてこちらの様子を見ていたのかも知れないぞ。ただ、親らしいその怪物を倒した事は、良くやったが・・」
「危なかったと言う事ですね?やっぱり」
燕尾は撤退の判断が間違いでは無い事をその言葉で確信すると、
「飛翔隊数人で、今度は岩山のあちら側探索をする事は可能でしょうか?」
「やっている・・隊長は加太だ。ただ、こちらにも羽を生えた新たな怪物が居てな、丁度捕まえて来ている、閲呉を呼んで一緒に見よう」
「え・はい」
そんな情報がいきなり入ったのだ。それは然りだ。昨日戻って来たと言う事で加太がそこに居た。
「おう、閲呉、かなりの活躍だったらしいな。黒魔以上の化け物だったんだってな」
「あ、はあ。食われてもおかしくなかったっす」
「だろうな、何か得体の知れない魔人や怪物がこの周囲に居る。もう赤魔も緑魔も白魔もだが、俺達が飼育するなんて思っても見なかったものの、急激に変化した事も、とても不思議だったがなあ」