出現したとんでもない敵
連絡が入った。黒魔が出現した黒い岩窟は、トンネルになっていて、どうやら、赤魔、白魔、緑魔についても、その中に侵入させないように警戒すると共に、攻撃をしていたものと思われる。当然そこには生活できる空間、あるいはセパレートされた岩山の向こう側に行ける通路があるのでは無いかと想像した。その赤、白、緑魔の空間は確かに広い居住区があったものの、この岩山を貫くような通路は見つからなかった。そして、魔人達を悉く拉致し飼育と言う強制的な隷属を行った結果、人には攻撃性を全く見せなく、二本の脚で立つ事は無くなった。形容すれば牛に近い種に変わったのである。何も行った訳では無い、しかし自然にそうなったのには、恐らくその通路の中で、異臭がする場所にこれも抜燐が言う事には、興奮作用のあるあるコケ類が群生していたとの事である。そのコケ類は危険と判断したので、全て焼き払ったのだった。その魔人を恐らくこの空間に閉じ込め、又人をも何かの意図を持って実験していたのでは無いかと抜燐は想像を広げた。しかし、余りにも飛躍したその言葉には誰もが納得等はしなかった。抜燐は時折、そう言う言葉を吐く事で、敬遠されている者でもあったからだ。しかしながら、抜燐の側近にはとても優秀な者が数名居て、今回の黒魔の巣窟こそ何かがあると提唱し、ここを探索するに至ったのである。今の所人に攻撃してくる敵が居なくなっていた事も、このような冒険を可能にしていた。
とにかく謎だらけの閉鎖的な空間に彼らは居るし、後にも辻褄の合わない事が一杯出て来るのだが、そんな事を考えて行動もしていないし、とにかく眼前の敵を倒すと言う事がこの先もそうだし、今時点が生きると言う事に全力を傾注しているのである。
ただ、何かが少しずつ変わっている感覚だけは彼等にはあった。魔人が何故居るのかと言う事と倒した事で、ここから探索を始めるのは自然な行為であろう。
そして、黒魔洞と名付けたこの先に侵入する事となった。
「相当ここは暗いな、黒魔は夜眼が利いたんだろうな」




