北方より来る魔の影
ムランが激怒した事を知っているビゼンがそう最初に告げたのだが、
「それにしてもだ。大将エツゴの体制になって久しい。ようやく以前とは違う今は「軍」と言う組織になり、まがりなりにもだぞ?その側近と言うか、一番重要な軍部の軍師が黙ってその直属の者かどうかは知らんが報告も無しに、こう言う事をするのはどうだ?俺もエツゴが時々そう言う事もあるが、黙って見て来た。おい、ビゼン、お前はこの軍の別組織なのか?軍師は好き勝手に出来るのか?どうだ!」
やはり眼光鋭く、返答次第では切り捨てるぞと言う顔であった。
「まあ、待て。とにかくだ。ビゼンはこの黒魔人を初めて捕らえて来た。マビ、お前が通訳をしろ。正確に伝えろよ?分かっているよな」
少し震えるような顔で、マビは、
「も・・勿論で御座います。×▽&$・・・・・・・」
マビが黒魔人に分からぬ言語で語ると、そこにエバが座っていた。ここにはユウゴは居なかった。呼ばなかったのだ。キランとエンビがエツゴの横に立っている。ビゼンは、少し離れてムランの対面に立っている。この距離感が今回ムランの激昂と関連しているのかも知れない。
エツゴも無表情で、何時もの顔では無かった。
マビは、
「捕らえられるのは不本意である。さっさと自分を帰せと言っております」
「ふん・・それは、こちらの考え一つであると言ってやれ。戦いの相手に対し、こちらは寛容では無い事もな。ここには我が軍一の豪将ムランが居る事も言ってやれ、何時でもその両手、両足を落として帰してやる事も出来るとな」
「は・・はい・・&%4#2・・・・・」
流石に黒魔人の顔色が変わったのは、分かった。通訳しているマビが、恐らく自分が拷問と言うものを受けた体験談を話したのであろう。




