異様な族
「エンバ、お前も最近では笛を吹ける。小人が持っている笛は、こちらの素材とは違うものだろうが、お前はこの音階で笛を吹けるか?10種類ある」
「まあ・・可能ではあるが?」
さっきまで居たガリは、エツゴの前線基地までもう移動していた。
「苦戦のようだな」
ガリが言うと、
「ああ、ビゼンとやりあったんだが、ここで数人が殺られちまった。片腕を落とした者や、手足を折った者も数人居る。ギゼン族は単独でも倒すのは容易では無い上に、また何か魔物使いがいきなりまた現れているようなんだ。だから不意討ちを食らっちまったんだな。俺もビゼンにかなり怒鳴られちまったぜ」
「仕方ねえよ。今までのように、自主的に行動せよって言う具合では駄目だと思う。こちらも前のようには行かねえだろうからな」
ガリもその辺は分かっているようだ。
「うん、そこでだ。ガリは見えるんだよな?小人の魔物使いが」
「さっきもビゼンの所で聞かれたさ。けど、ぼんやりとだけだ。こいつらは、魔物の背に2人で乗っているようだ。一人は笛、もう一人は綱のようなもので、魔物をコントールしているようだな」
「おっと・・そこまで見えているのか。ガリ、お前も笛の音が聞こえるなら、一つ試して見ないか?」
「何を・・?」
また唐突にエツゴは言い始める。
「決まっているじゃないか、ガリが、笛を吹くんだよ。前方に居る怪物がとにかく邪魔だ。つまり、そいつが居なくなれば、もう資源のある丘には、そこまでの所まで構築が進んでいるこの砦を強化し、鉄を採掘したいんだよ。もしかしたら、耳洞族の昔製造した武具があるかも知れない。まず、それを確認したいんだよ」