第1章 勇者現る
その様子に加太は、
「おいおい、緊張感がねえぞ、衛琉。俺は加太、そしてこの顔真っ赤が衛琉、こっちのちびが、我利と言う」
「俺の紹介がちびかいっつ!」
確かに小柄で痩せている我利は大声で突っ込んだ。
「あはは・・俺は、安良だ。この辺の人を守っている」
「じゃあ、この辺の大将っすか?」
「まあ、そんな所だ。けど、助かったよ、衛琉と言うんだよな、なかなか見事な腕だ。俺も飛び道具が得意なんだが、この緑魔は特にやっかいな奴でな、鞭と言うこの紐を振り回すんだよ。こいつには何人も殺られた。かなり強い奴だったんだよ」
「役に立てたなら光栄です」
加太達は、自分達がこの平原がどこまで在るのか探索中で、そして岩山に囲まれている事を伝えた。ここまでは、相当のトイ=キロがあったものの、地伝達や音伝達は入っていたようだ。新に穂弥や、栄奎の種を植える事によって、何とか緑魔に攻められずに今の所住んでいられるようになったと言う事だ。
「なかなかこっちも大変そうだ。俺達の任務はこう言う地区がどこまであって、人が何人居るのかを探索している所です。そうしないと、どんどんと俺達の仲間は減って行く。魔人達も倒しているものの、こいつらの数も何も分かっちゃいないんですからね」
「そうだな、その通りだ。うん、近くにはやはり物探と言う大将が居る。そこへ行くか・・その前に、おい、衛琉。俺は、お前がなかなか気に入ったぞ、緑魔を一緒に食おうぞ」
「あ!はいっつ!」
加太が、どうやら安良に衛琉が惚れたようだなあと、にやりとした。それは良い事だ。子を成さねば、子孫は増えない。ところで彼らの寿命とは?そんな謎だらけであったが、死と言うものがある以上は、死ぬ事は子孫が絶えてしまうと言う事なのだ。
そして、この安良と、物探はとんでもない・・やはりどう言うのだろう、剣豪に近い長刀を自在に操る者達で、衛琉が安良に気に要られたのも、どうやらそう言う武術に近い感覚かららしいし、また分かった事がある。赤魔より白魔、白魔より緑魔の方が断然強いと言う事だ。加太はその報告を背無理、恵比寿に伝達すると、道中を創生する為に草原へ道を構築する為、住民を繰り出したのだった。それは双方からと飛翔隊によってどんどんと進んだ。約一か月と言う期間で、5地区は緑の道によって繋がったのである。そこでやっと抜燐から、歩くのではとても不便だと言う事で、飛翔具を改良し、住民がその飛翔速度は遅くても、歩くよりはずっと早い装具を身に着ける事になったが、その時には既に殆どの安良、物探の住民は飛翔術を習得していたのである。この2地区の住民の身体能力がとても高い事を知った恵比寿と背無理は、自然に膝を折った。この二人の下につくと言う事だ。こうして5地区のボスは、安良が一応のトップと言う事で同盟関係を結んだのだった。そして緑魔を倒し、食うと言う事は明らかに白魔、赤魔を食うよりも身体能力が増す事も学んだのである。特に豪将の室蘭は飛び抜けて強く、身体能力が高い事も判明した。この同盟の最強の戦士となるのだった。
安良は言う。