改名を発表する?
「ところで?そのあっち側の話をすっ飛ばしていたな」
エツゴが思い出したように言うと、今度はキランも加わって爆笑するのだった。そうそうこう言うコミュニケーションなのだ。それが強固な人間関係を創り、そして自分をも窮地に遭遇しても救い合うだろう間柄、信頼と言うものなのだ。
その峡谷は、一種の砦のようであり、その横を徒歩で探索していると言う事だ。当然地伝達、空伝達を行っている。そんな報告途中でまたエツゴが思いついたように分からぬ話をし出したのである。
「あ・ところでよ?魔物使いって笛を吹いていた。あれ・・どこへ行ったんだ?」
「え!え?な、何・・今その話?」
キランが眼をくりくりとさせる。エツゴは頭の回転が速いし、色んな事を同時に考えているので、この話をしている途中で、またそんな疑問が湧き出たのだった。
「いや・・確かに巍然族には魔物使いが居た筈だ。と、なるとそいつらは、巍然族亜型とか乙型ではなく、意識を持った生体・・或いは正気の人か、魔かでは無いのか?」
「だから、その話を今、報告の上がって来ている所の前にするのは何でって言ってるんだよ?」
エンビが言うと、
「うん、それって・・繋がってないのかなと思ってよ」
「繋がる?どこへ?」
「いや、だから今報告がある場所にだよ」
「ええっつ!飛躍したなあっつ!」
ビゼンも驚くエツゴの発想の先であった。
「確かに居たんだよ、魔物使いは。でも、これは耳洞族もやっていた。だろ?俺は巍然族を耳洞族の者が動かしていたとは思っても居ない。けどな、どこかに繋がってなきゃおかしいだろ」
「それ、明らかに耳洞族の者に関連があるって言ってない?エツゴ」