改名を発表する?
「緑魔洞の岩盤は凄く硬い。ただ、この緑魔洞もまた上原族が掘っていたと言う事だ」
「自然にあった洞窟では無かったか、やっぱり」
「この緑魔洞の採掘していた石は、割ると尖った破片になり、限られている俺達の武具にしている、これは鉄と言うらしいが、それより硬いんだよ」
「硬い?ならそれが武器になるじゃねえか」
「いや、ならない。鉄は自由に熱したら形を変えられるが、この緑のものは硬いが割れるんだよ」
「硬いのに割れる?何だそりゃ」
確かにエツゴの疑問は当然だった。
「飛矢の先にこれをつけている。叩いて割り、矢吹の先につけているんだ。この緑石同士を擦り合わせると、先が鋭いものに出来るんだ。鉄がどこから来ているか知っているか?エツゴ」
「あ・・いや。その話を聞いた事は無かった」
「つまり、耳洞族の平原の岩山にある。つまり、耳洞族はそこで鉄を採っていたんだよ」
「ふむふむ・・それがこっちと昔は交流と言うか、文化圏にあったので、手に入っていた訳か。つまり、今の巍然族ではどうにもしようもねえわなあ。その武器を使っている訳か。よし、奪って来よう。ビゼン、気づいていたか?あいつらの動きを」
いきなり全く脈路のない話に切り替わる。これがエツゴなのだ。苦笑しながらビゼンは切れ者だ。その頭の回転により切り返した。
「ふ・・観察していたのは、こっちも同じ。今巍然族を近寄らないように監視しながら、壁は相当伸びている。その先に、エツゴ・・あんたは無意識にやっていたんだろうが、小高い丘がある。後50マムまで迫っている。つまり、その丘なんだよ、鉄があるのは」
「は・・何かありそうだなと言う感覚で、黒魔洞からも2トイの位置だった。ここと壁を結べれば、前線の陣地が出来るなとしか思って無かったがな」
ふふふ・・あはははと、エツゴ、ビゼン、エンビは笑うのであった。そして、その重く黒い石があるのがその丘であり、その鉄が入手出来ればこちらの様々な用途に使用出来るだろうと言う事だ。そして、何より精錬と言うか、加工法を知っているのがバツリンと言う事になる。また、エツゴはバツリンが魔人達と戦って来たムラン達の話と照らし合わせると、第一戦で戦って来た事も分かった。その当時の互いの連絡網も無いし、ばらばらの行動が大きな誤解を生んだり、これは起こり得る話だが、疑心暗鬼を産み、双方の信頼関係を破壊する事も学んだ。こうやって原始的ではあるものの、しっかりと上原族としての組織が出来つつあるのだった。