改名を発表する?
「その通りだ。今回も運よく策が機能した。しかし、常に俺達は危機に向かい合っている。毒は効果があった。だが、解毒と言うのも開発すべきでは無いか?」
「すぐ・・開発を命じる」
キランはその先を察知したのだった。エンビも黙っていたが、この毒の策と言うのは両刃の剣のような気がするのであった。とにかくこうしてこの怪物をビエラと戦う前に倒した事は、この現状がしばらく守られると言う事だ。奇しくも最善の策となり得たのであった。
こうして、何かがこの先にあると漠然ながらも感じる彼らは、とても神経を張り巡らせていた。それは、そうであろう。一瞬で命を失うのだ。生きると言う事はそう言うものである世界で彼らは過ごしているのだから。
少しエツゴとエンビは夫婦らしい会話を2人で過ごす白魔洞をくりぬいた一つの部屋で話し合っていた。
「エツゴ、展開が目まぐるし過ぎてとても疲れたわ」
「うん・・確かに緊張の毎日だ。気を張っていないと何が起きるかは分からないからなあ」
「とりあえずは、眼の前の対処しかない訳よね」
「ああ・・不思議な事が一杯だ。何でこんな怪物が居るんだと言う疑問と、どうも、魔虫と言うのが悪さの元のような気もするよなあ」
「難しい事は分からないけど、その生体に寄生し、栄養源を吸い尽くし、脳まで支配する。その支配とは食べる事だけ。より多く吸収した個体は大きくなるし、その形状も変えて行くと言う話はしていたよね?」
「ああ・・こいつがやっかいだ。絶滅なんて出来もしないし、どんどん増えて行く。火山や、煮えたぎる湯では死滅するらしいが、どこかで生き残り、又数を無限大に増やす。効率的に生体に入り、その肉体にとりつくのが一番効率的って事だ。ちょっとは、こっちも知識として学んで来た。ギ種~ギゼン族→それも2種の生体と、魔蜘蛛、琵衛魯、魔蚯蚓もそうだよな。今回も含めて、魔鳥も居るか・・こっちは激減したようだがな。今度は魔鳥が居なくなれば、飛虫が増える。これもやっかいだぞう」
「考えて見りゃ、あたい達が一番弱いのかもね」
「ああ・・弱いと思う。今の時点ではどの相手もやっかいで、俺達は圧倒的に弱い。とにかく、もうギゼン族の皮の鎧を破る弓も創った。と、言う事はそう言う相手が出て来ると言う事だ。けど、無くてはならない。ギ種の皮の方が硬そうだと言う話も、ちらっと聞こえて来たしな」




