改名を発表する?
声が震えていた。しばらく激戦をしていないとは言え、あの魔人達と戦って来た武将達である。エツゴがその付近を確認しに行こうとすると、エンビに止められた。
「大将が先陣を今は切るべきでは御座いません。ブッタンに行かせましょう」
「あ・・お・」
そのエンビも最近では非常にぴきぴきと指図をするようになっており、キランが変化したのと同様に、陣内の軍師役達もそれぞれの役目を果たしたようだ。
そこでブッタンも身が震えたのであった。
「こ・・これは、魔物と言うか、怪物と言うか・・こんなの敵いっこねえよ」
しかし、爆球と今は名付けている手榴弾風のものを飛翔しながら数個投げると、一目散にその周辺から離れていった。少なくてもブッタンが行った事は、白魔洞出口周辺から遠ざける事であった。
「ごおおおおおおっつ!ぐがあああああっつ!」
その叫び声と言うか咆哮はエツゴの耳にも入った。
「うお・・とんでもない奴が居るようだ。先遣隊を呼べ、どんな奴なのか、聞きたい」
ビゼンが連れて来たのは、雑兵に過ぎないが、ビルと言う者だった。
震える声で、どうにか特徴をエツゴに言うと、聞きながらすらすらと彼はその似顔絵と言うのだろうか、それを示した。
「どうだ?こんな感じか?大きさはビエロ級と言う事だが」
「まさに・・その姿です。長い尾と、黒緑の斑模様の硬い皮膚に、黒魔人を彷彿とさせるような大きな口からは真っ赤な舌が伸びておりました。この化け物は巍然族を手づかみで2体を食っておりました」
「巍然族と言うのは結構強いが、その体は5倍程あると言うんだな?」
「はい、とても敏捷に動き、巍然族が数体戦っておりましたが、次々と倒されました」
「成程・・頭部は異常に大きくごつごつとしており、黒い当部と、黒緑の斑模様。黒魔人風の容貌と長い尾・・この尾が曲者のようだな」