改名を発表する?
ビゼンの発案は突然だった。何故自分達がこのような漢字語源の名前を使っているかは不明だったが、新に加わったジドウ族に対し、互いに覚えやすく、呼びやすいものにしようと、この簡略語を発明?したのであった。まあ、読み方の方は同じであるので、つまり、エツゴに絵心があるように、説明するのに、今まで耳からの情報と言うのが主だった。なので、記憶力の良い者がどうしても主力になってしまう。また、色んな事を教え、覚えるのにも文字が必要だと言うのである。それはバツリンが口頭でのみ伝達していた事にもよるが、その事でキランが実際は彼が披露していた情報も、聞いている者、又聞いていても覚えていない者、理解出来ない者も居る事から、この戦闘と言うつまり攻撃こそ最大の防御なりを素の如く行っているエツゴのスタイルに照らし合わせれば、ここでは書が必要であろうと言う考えだ。覚えの悪い者は何度もその文字による復習をすれば、自分の知識となって行くと言う教育を進言したのである。画期的なこれは伝達方法であり、ヒバによる紙のようなものも生み出され、書式、書面が出来たのもこの頃だった。
バツリンの白魔洞の通路は、かなり複雑で相当な距離を進む事になったが、当時から既に完成していたその通路は全く安全であり、且つ何がこの通路を照らしているのか、青白い光に満ちており、灯火を必要としなかった。そして、やっと自分達の黒魔洞拠点から見て、白魔洞が東西南北に当てはめて、南が黒魔洞、北が白魔洞と言う事になる。そして、噴火を起こしたのは、西にあたる火山である事も判明したのだ。エツゴが遠かったと言う報告をしていたのも頷ける。一度西方向に向かい、それから北まで行くには遠すぎたのだ。そして、この通路も遠かったものの、岩山をぐるっと回るのと、直線に近い距離を行くのとでは断然違い、そして、意外にも近いと感じたのであった。
「どうして、こんなに近く感じるのかなあ」
エツゴが首を傾げた。
実は、この岩山は所謂でこぼこのリアス式の様相であって、そこを丹念に岩山伝いに危険を出来るだけ避けながら飛翔したのでは、とても遠かっただろう。しかし、白魔洞は確かにぐねぐねとはしているものの、それを大きく短縮しているのである。
と、言うのはここまで。順調に来たかた言えばそうでは無かった。この間にも何度かギゼン族の襲撃があった。相当にもう食糧は枯渇して来ているのだろう。飛鳥が激減している事には少し安心したものの、これも魔鳥なのである。体も大きいし、飛翔隊にとって脅威の敵になる事は間違いない。エツゴが敢えて山岳を左にしてジグザク飛翔を続けて来たのにも意味がある。そして、この山岳も巨大な砦なのである事も分かっているからだ。
先見部隊より連絡が入った。
「前方に敵あり!見た事の無い奇怪な姿だっ!」




