戦況が変化して来た
「うん。そうだな、ある程度の情報は分散しときゃ良かったんだ。そして、それがお前を信頼する、俺も信頼されると言うものになるんだと考える。いや、それは俺自身の考えだ。強要するつもりも無いし、今まで秘匿しても来なかったからな」
「とても大事な事を言われている気がします。では、すぐにでも白魔洞における秘密の通路を見ませんか?何か、この動きこそは迅速を尊ぶ・・そんな言葉が浮かびました」
備前も閲呉も、聞きなれない言葉をすらすらと述べる。不思議な感覚だった。まるで次にはそうなるかのような必然の中で全ては動いているような気がしたのであった。確かに耳洞族にはかなり高い文化があったのだろう。しかし、何時以来の火山の噴火があったのかは分からないが、周辺には休火山、活火山が相当数あり、今回のように生態系を絶滅させる事もある訳だ。当然、食が無くなればある所を探し、それを奪う。これは種の生存の法則なのである。彼らにもその根本的なものは教わらなくても分かるのであった。
そして、怒り心頭であった気藍であったが、抜燐がその秘密航路については以前背無理等に地下水脈があるのだと言う事の話をしている事も後日分かったのである。単に彼らがその時意も止めなかっただけであり、閲呉のような重要視する事も無かったのだ。気藍は、まだまだ自分には足りない部分が多過ぎると反省をしたのだった。そして、自分の中に激しい気性もある事を悟った。これにより彼女自身も大きく成長をして行く事になる。閲呉は類稀なる才能を既に見切っていた。陣内に無くてはならない軍師役の一人なのだ。軍師は一人では無い。各自の持つ得意な方面を引き出す事の出来る者が必要だと言う事だ。感覚的に閲呉はそれを持っているのだろう。