戦況が変化して来た
「じゃあ、こっちの魔人をどう説明するんだ?」
「巍然種は本来大人しい。故に代々飼っていた。それに魔虫を注入する実験をやっていたのだ。それが魔人化した・・我はもはや、この上原族において逆賊と言われても仕方があるまい」
「だから、似ているようでも少しずつ形態が変化するし、上原族の元々の草食系の生体も、魔虫を注入した巍然種を食う事によって、魔人になったのか」
「そう言う事になる。さて、全て話した。もう我を生かす事もあるまい、斬れ」
「おう・・分かった」
その時になり気藍が両手を広げて閲呉の前に
「待って!抜燐師の話は分かった。でも、師は色んな事をこの集団に教えてくれた。そして、文化と言うものも教えてくれた。今の開発もそう。殺さないで!閲呉」
「はは・・ふふふ」
閲呉は何故か笑った。
「何で笑う・・?」
気藍が怒りの表情に。それはそうだ、今にも抜燐師を殺す勢いの気迫を閲呉は見せていたのだから。
「今、過去を叩き斬ったのだ。そう言う事を俺は言ったし、嘘などがあればそれは、やはり本当に殺していただろう。では、もう一つ聞く。その砂漠は俺も飛翔して見たがとても遠くにあるようで、到達の先も分からなかった。そして、黒魔洞には黒蜘蛛も、黒魔人も居なかった。どうしてっすか、抜燐さん」
「あ・ああ・・それは、元々黒魔洞の中には、黒蜘蛛は居た。それが巨大化したのは、封鎖する事にしなければ、こちらの上原族に危害が及ぶと思うたからだ。そう遠い話では無い。黒魔人もやはり、その黒蜘蛛を食った赤魔人と言う事になる」
「それを笛でコントロールしていたと言う事なのかな?」
「そうだ。笛は耳洞族も知っての通り、色んな音階の、又波長のものがある。黒魔人は確かにとても強かったが、お前達が倒してしまったし、まさか黒蜘蛛も殺してしまうとは思っても見なかった。むしろ、押し寄せて来る巍然族の備えなっていたんだがな」