第1章 勇者現る
それを聞いた抜燐は、
「うむ、恐らくその岩体の色と魔人達の姿・色を想像するにそこに奴らは棲息していて、どうもいきなり出現する所を見ても、地下水脈があるのではないのかな。その水脈を通って地上に現れるのでは無いかと想像するが」
これは、二人の大将・・ここでは背無理と恵比寿が仕切っている。報告をされると、
「成程、俺達の居住地区は、その岩体に囲まれているのか、ならこの平原の中にどれだけの人が居るんだろうな」
「もう少しそれは調べて見ないと分からない事だが・・」
抜燐は顎を擦った。
「引き続き頼む。魔人達はしょっちゅう現れるし、他の地区とも連絡を取りたい。で・・どの位この平原とは広さがあるんだ?」
そんな計測等出来ないし、文化も無かった。しかし抜燐は独特の方法で、その大きさの単位を自分で編み出していたのだ。所謂メートル、キロ、センチの単位にほぼ近いマム、トイ、キである。
「凡そこの地区から岩山まで飛翔隊の想定速度は一日を360の天位(単位)で割ると、その内、活動出来る太陽が昇って沈む時間は、3分の1なので、0.2天位が活動時間。その飛翔は、120天位の中で、せいぜい体力的なものを見ても60だと思うんです。だからトイに換算すると、60から見ると 一日でその岩体の到達する事を見ると、彼らはその0.2マムで半分の60だから、約2000マム位では無いかと」
彼らには分からなかった。そんな抜燐の示す単位等は、ちんぷんかんぷんなのだ。
「じゃあ、俺が普通に歩いて、どの程度で岩体の到着するんだ?」
成程、その方が分かりやすかった。
「普通に歩いて、5日は掛ると思われる。寝ずにと言う事だが、勿論」
「相当それは遠いのかな・・」
恵比寿が考え込んだ。考えたって、その距離感が分かる訳も無かった。抜燐は、
「まあ、相当距離があると言う事だ、歩いて行くと言う話で」




