改造
【イツキサイド】
「……それと、『改造』について……これは、話してしまっていいんですか?先生。レイはあなたを誤解したままだと思うのですが…」
「………構わない。そろそろ仕納めだと思っていたからなぁ…。」
「いやぁー残念だよ、悪の組織!みたいに作るのがわたしの夢だったのにねえ。」
先生は、さも楽しそうに笑う。
レイは不満そうにこちらを見てくる。
「レイ、君も、他の子達も。先生に改造されて特殊能力を得た、そう思っているよね?」
「………他に何があるんだ。」
「もし、君達の特殊能力が、元々持っていた力だとしたら…?」
「………………………は?」
「レイ、実はね、わたしはその力を覚醒させる為の手伝いをしたに過ぎないんだ。個々を目覚めさせるのに、色々とやってきてはいるがね………。」
「………………俺が、元々、特殊能力持ち………?」
「特殊能力は個人によって目覚めさせ方も、能力の内容も違う、この孤児院は、そういった子供達が集められているんだ。」
「………は?な、なんの為に……?」
レイはきっと話に追いついてくるのに精一杯だろう。なるべく、分かりやすく説明していく。
「………それは、師匠が集めているからだよ。」
「…な、なんだよ、その師匠って…意味が分からない………。」
「師匠はね、この世界と…戦おうとしているんだ。」
「わたしはそれを知っているから…師匠を止める為に、君達を手荒な方法も使って目覚めさせたんだ。このまま居ては、師匠の駒になってしまうだけだったからね…。」
「師匠の駒って…世界と戦うって…なんだよ…なんなんだよ…俺達は、お前らの為に生きてるんじゃない…!!!」
「………ごめんね…わたしにもっと力があれば、師匠を止められてたかもしれない。だけど、もうわたしだけでは無理なんだ。」
「…レイ、師匠の駒っていうのは、戦争の道具だ。使い捨てのね。」
「先生は、そうならない為に、孤児院の子供達を、最初から居なかったと記憶改ざんと情報処理をして、能力を目覚めさせ、地下隔離所に隠したんだ。」
「遠からず来る、戦争で生き延びる為に………。」