真っ白な世界
【先生サイド】
わたしはヒナちゃんの前に立ちはだかる。
「ヒナちゃん、危なくなったら先生の後ろに隠れてね…!」
「先生、何も出来ない、役立たず、お荷物、邪魔…」
「…っひ、ひどい…!!!」
「先生こそ、裏でコソコソ隠れてたらいい、ヒナはオニィチャンと戦う、側に居たら、吹っ飛ばす。」
「…そ、そうだよねぇ、吹っ飛ぶよねぇ…役立たずな先生は隠れてるねぇ…」
「………うん、そうして。」
辛辣なヒナちゃんに目を向けると、ヒナちゃんの口元が少しだけ綻んでいるのが見え………
「ヒナちゃん……!!!かわい………!!!」
「………ヒッコンデロザコ…。」
「…っ辛辣…!!!」
「ウタちゃん…どうしたらいい……」
「大丈夫だよ、お兄ちゃん。わたし達は何もしなくても。」
「………で、でも、でも………」
「お兄ちゃんには、何も出来ないよ。凄い力は、今は出せない。」
「…そ、そっかぁ…」
「うん、お兄ちゃんは、わたしの側に居てくれるだけでいい。わたしから離れないで………」
「………わかったぁ………」
「…っ?!」
こっそりウタちゃんとウイちゃんの方に目をやると、普段可愛いだけのウタちゃんが、ウイちゃんを後ろにやって、手を繋いでいた…。
やっぱり、お兄ちゃんっていう存在は、強いものなんだな…と、少し微笑ましく思った。
「師匠、これでもやりますか?こちらの子供達は、みんなノアが大好きなんです、だから、ノアを連れて行かせはしませんよ!」
「あぁ、ルカ、居たんだね……久しぶりって挨拶する雰囲気でもないよね…君もどうだろうか、また僕の実験を手伝ってくれないか?」
「お断りします。わたしは、子供達を死なせたくありません。」
「僕だってそうだよ、その為に人間達と戦うって決めただろう?」
「……っ師匠の、戦いは…今はそんな理由ではありませんよね?!」
「そんな理由でもあるさ、人間達に勝てば、渡し船であった『ノア』を復活させる事が出来る!ついでに、特殊能力者の存在意義を認めさせる事も出来る、だろう?」
「師匠は、間違ってます。『ノア』は死にました。ここに居るのは、紛れもなくわたしの子供達で、死んだ者ではありません!」
「………そうか、君にはがっかりしたよ。所詮、君も、感情というものに踊らされるんだな。」
「…わたしも師匠の考えにはがっかりしました。私利私欲の為に命を犠牲にするなんて…」
「ふふふ、僕と敵対するということは、君も同じ穴の狢という事なんだがな…」
「わたしは絶対に子供達を見捨てません!」
「…それはどうかな…?」
その瞬間、視界一面が真っ白になり、何かが被さってきたかと思ったら、物凄い爆音と共に…突風で周りのもの全てが…………
吹き飛んだ…………




