襲撃
【ノアサイド】
平和な日は、そんなに長くは続かなかった…
「久しぶり、ノア…君を夢に見ない日は1日もなかったよ。」
本体が、大量のクローンを引き連れて、施設に乗り込んできた。
「シンキよ…本気でノアを連れて行く気か?自身の戦争に巻き込むのか?」
アイちゃんが間に割って入ってくれる。
「自身の戦争だって?これは『ノア』の為の戦争ですよ。ノアが『ノア』に戻る為の…ね。」
「お主は本当に、『ノア』の身体が今でも無事であると思っとるのか?人間達の元に渡ったのだぞ?」
「無事でなくても、取り戻せたら回復させて下さいよー。その為の、聖女さまでしょう?」
「…お主…狂っとるな…死んだ者は生き返りはせん!」
「いやいや、聖女さまなら出来ますよー、そして、その為の器がそこにありますから。」
「ま、まさかお主…ノアの肉体を使う気か?!」
「肉体だけではないですよー核もちゃんと戻してあげないとですからねぇ」
「ノアは、もう『ノア』と融合しとる!その証拠に、第二次覚醒までしておる!お主の目は節穴か?!!」
「あー、そういえば、そうですねぇ、でも関係ありません。その肉体は僕の物ですから、クローンに意思など必要ないですよ?」
「……黙って聞いていれば…好き勝手言いやがって!!ノアはノアだ!誰にも何もさせねぇ!!」
レイが本体に殴りかかろうとしたが、アイちゃんがすかさず制止する。
「…レイ!よせ!奴に関わるな!」
「あー、危ない危ない、本体に攻撃を加えたら、ノアが敵対しますよ?」
「……は?」
「クローンはですねぇ、本体を守るようプログラミングされているんですよー」
「どうしても僕を殴りたいというならば…この哀れなクローンを差し出しましょう。」
そうしてクローンの中でも幼体であろう子供を差し出してきた。
「ほ、本体が、殴ってもいいと、言っているので…僕を、殴って、下さい………」
その小さな子供のクローンは、震えていた…。
「………子供は、殴れねぇ………」
レイが苦々(にがにが)しそうに拳を下ろす。




