表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/51

双子ということ

【ウイサイド】


 本当は、分かってた。

戦争(せんそう)()きる事、(だれ)も死なないエンドは存在(そんざい)しない事。

だって、あの人がそう言っていたから…。

 でも大丈夫、わたしがお兄ちゃんを死なせないから、絶対(ぜったい)に、何があっても。

2人で()げようと思った事もあったけれど、特殊能力者(とくしゅのうりょくしゃ)には行き先なんてない。それに、(のぞ)んでこの力を手に入れたんだ。

もう、自然(しぜん)()いる事も、()ちることもない。殺されない(かぎ)り…。

 この戦争(せんそう)が終わったら、お兄ちゃんと一緒(いっしょ)にあの人の元に行って、2人で(しあわ)せに、平和(へいわ)()らすんだ。

もう傷付(きずつ)く事も、()える事もなく…

だからお兄ちゃん、少しだけ(つら)いかもしれないけど…みんなの事は見捨(みす)ててね。

その(ため)に、核の融合(ゆうごう)をさせなかったんだから。


 事が()むまで…おやすみ、お兄ちゃん。


【ウタサイド】


 ウイちゃんの考えてる事が分からなくなったのは、この施設(しせつ)に来てからだったかもしれない…。

それまでどうやってここに辿(たど)()いたのかは分からないけれど…僕達は、路上(ろじょう)()らしていた。

 家を()い出されて、知らない大人に(かこ)まれて…食べ物をくれたりした人も居たけど…食べた分だけ(はたら)けと言われ、労働力(ろうどうりょく)提供(ていきょう)していた…。

 ウイちゃんは、(すご)く良い子のふりをしていた。

 だから可愛(かわい)がられて、僕の方が沢山(たくさん)(はたら)かされた。

 ウイちゃんはそれでも僕の心配(しんぱい)をしてくれたけど、僕にはそんな事出来ないって思ってたんだ。

 だけどウイちゃんが()れて行かれて(しばら)くしてから、突然(とつぜん)人が変わったように大人(おとな)びてしまった…僕は、取り残されたような気持ちになって、ウイちゃんを抱きしめて()(わめ)いた…。

 それから(まわ)りの人の目が変わった。

あまり感情(かんじょう)を出さないウイちゃんより、僕を可愛(かわい)がってくれるようになった。

 僕はかつてのウイちゃんの真似(まね)をしてみた。

 みんなに可愛(かわい)がられるように、見捨(みす)てられないように…。

そうしている内に、それが僕になってしまった。

僕って、どんな子だったけ…

 ふと、ウイちゃんに聞いてみた。


 「ウイちゃん、僕って………」

 「………お兄ちゃん?お兄ちゃんは、ウタちゃんって言ってるんだよ。」

 ………僕の変化(へんか)に、ウイちゃんは気付(きづ)いてしまったかもしれない。

気付(きづ)いてて、それを見守(みまも)っていてくれたのかもしれない…。

 僕の妹は、とても(するど)い…(なさ)けないお兄ちゃんで、ごめんなさい…。


 「ウタちゃん、なんでもないっ」

 「うん、お兄ちゃん、ウイがいつも(そば)に居るからね…。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ