贖罪
【レイサイド】
「…そんな…わたしは、どうやって、『ノア』に償えば………ごめん、ごめんねぇ…『ノア』………」
神無月は涙をポロポロと流しながら膝まづいていた。
それを見たアイが、ノアにアイコンタクトを送る。
ノアに、面倒事押し付けやがって…と内心イラついたが、正直、この状況を打破出来るのはノア以外に居ないだろうと、俺は深呼吸をして怒りを抑えた。
「………先生、僕は、前の『ノア』の事は何一つ覚えていません。けれど…もし、前の僕が今の僕と一緒の思考なら…きっとこう思ってるでしょう…『やっと、信じてくれたんだね。泣かないで、僕は、君が信じてくれる事を…待っていたよ。ありがとう。』」
「…わ、わたしは…『ノア』の事を、騙して…裏切ったと思って…酷い事を………!ありがとうなんて、そんな……」
「『君が僕を信じてくれた、それだけで十分だよ。出来たら、これからは僕とも仲良くしてくれたら、嬉しいな。』………なんだか、僕の中の『ノア』が、そう伝えてほしいって言ってるみたいです。」
「…う、うわぁぁぁ…『ノア』『ノア』、ごめんなさい…!」
神無月は無邪気な子供のように、ノアに泣きついた。
本当にコレがあの神無月か?
だが、演技には見えない…恐らく、心の奥底に封じ込めて生きてきたんだろうな…神無月もまた、悪い奴という訳ではなかったんだな…。
それにしても…ノアが、今だけは、別人のように見えた。
前の『ノア』の影響かもしれないが、何だか、俺の知らないノアのような…本当に天使みたいな…
何を言ってるんだ、俺は………
その時、ノアの身体が淡い光に包まれていった。




