『ノア』の最後
【アイサイド】
「わしはの、『ノア』の親代わりじゃった。今のアールみたいな孤児での。拾って育ててたのじゃ。」
「ノアやレイなら分かるであろうが、見た目が普通の人間と違えば人間界では住みにくかろう。今みたいな特殊能力孤児院システムは作ってなくてのぅ。そこで、特殊能力を持つ子供達を拾って隠し育ててたのじゃ。」
「特殊能力孤児院システム、もしかして…アイちゃんが…」
「そうじゃ、不便だからアールと一緒に作ったのじゃ。過ごしやすかろう?」
「…そういうの、僕得意だから。」
「…マジか…凄いな…」
「…レイの見た目で外歩いてたら、コスプレ扱いか、捕まって実験材料だね。」
「………それは、感謝しかないな…。」
「確かに、孤児院の外の世界の人間達は、ただの人間だった…」
「もしそのまま外の世界に降り立っていたら、『ノア』と同じ扱いを受けていただろうのぅ…」
「…ど、どういう扱いですか?」
「まずは崇拝、天から降り立つ者は神の遣いだとか言われての。最初はちやほやしてくれるから気分も良かろう。そこで特殊能力で人を助ける。その内に、人間達に絆されて、人間の味方であるかのよう扱われる。つまり、その頃特殊能力持ちを虐げていた人間達と、それを許すまいと立ち上がったシンキ達との衝突を避けるよう願われてしまう…となると、平和を愛するように考えを改めるよう遣わされるのだが…」
「わしが隠してきたせいか、『ノア』は他の特殊能力持ち達がどのような扱いをされてきたのか、知らなかった、おまけに神無月に記憶操作されておってのぅ。」
「………あー…あはは…其の節は、すみません…」
「まぁ、よかろう。結局シンキ達と仲良く過ごせて、良い思い出が出来たようじゃからのぅ…」
「じゃが、仲良く成りすぎてしまったのじゃ…『ノア』はシンキ達が悪い者ではない、仲良く出来ないかと人間達に提案した。そこで人間達は、和解の為にシンキ達に会いに行ったが…全ては罠だった…『ノア』が神の遣いなんかではなく、ただ単に羽根を持った特殊能力持ちだと分かると、直ぐに見下し、シンキ達を守りに帰ると言う『ノア』に暴行し、命をも奪った…」
「………っ!!そ、そんな…わたしは、『ノア』は裏切ったんだと…」
「神無月が『ノア』を嫌っていたのは、シンキを取られるかと思ったからじゃろう?あの頃のお主はシンキに執着しておったからの…」
「けれど『ノア』は、お主を可愛いと、自分にも友達が2人出来たと言っておったぞ…」
「………ぅ、うわぁぁぁー!!!」
神無月は、初めて、本心を出したかのように、膝から崩れ落ちた……




