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ノアと『ノア』

【ノアサイド】


 「…聞いても、いいですか?本体が言っていた、僕の為の戦争って………」

 「ノア、やっぱり気にしてたんだな…」

 「…知ってるだろ?僕が気にするってことは…」

 答えを急かすように、アイちゃんを見つめる。

 アイちゃんは軽くため息をつきながら、言葉を(つむ)ぐ。


 「ノアの為の戦争…か…半分当たりで、半分は大違(おおまちが)いじゃ。」

 「半分…ですか?」

 「…正確に言えば、今のお主にはほぼ無関係(むかんけい)と言ってもいいじゃろうが…シンキにとっては今でも『ノア』は、『ノア』なのじゃろう…」

 「…それは、本体の、親友(しんゆう)さんの方の『ノア』ってことですか?」


 「…そうじゃ。ノア、お主は元々特殊能力を持たないクローン、所謂(いわゆる)シンキのコピーの1体じゃった。」

 「そして今の能力は、元々親友であった『ノア』のものじゃ。ここまで言えば、大抵(たいてい)想像(そうぞう)がつくじゃろう。」


 「僕の中の核は…元の『ノア』の物…?」

 「そうじゃ、お主から始まったのじゃよ、核の移植(いしょく)というものは。」

 「…そんな…僕のせいで…」

 「それは違うぞ?お主のお(かげ)で、希望を見出だせる事になったのじゃから」

 「僕が、希望………?」

 「ノア、シンキの親友の『ノア』は死んだ。シンキはその『ノア』の核をお主に移植(いしょく)した。姿形(すがたかたち)はシンキそのものじゃが…お主の性格といい心根(こころね)といい、元の『ノア』そのものじゃ。平和を愛する、者じゃった…」


 「…どうして、僕が希望なんですか?どうして『ノア』は死んだんですか…?」

 「お主が希望といったのは、死んだ者を(かたち)として残せる、または死にかけて居る者を生き延びさせる事が可能になったからじゃ。移植(いしょく)する事で、肉体の回復力を高め、寿命(じゅみょう)もを延ばす。()くなった者の核を移植する事で、そやつの精神(せいしん)を残す。ノア、お主は『ノア』の精神そのものじゃ。きっと精神を持たない肉体と融合(ゆうごう)したのじゃろう。つまりは、シンキにとって今のお主は、肉体は(ちが)えど『ノア』の復活(ふっかつ)そのものなのじゃ。」


    挿絵(By みてみん)

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