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わだかまり

【アイサイド】


 どちらがどちらに運んでもらうかの言い争いになるかと思ったが、アールがノアの羽根が鳥みたいだと言うので、ノアに運ばれるのを(ゆず)ってやった。

 「お(ぬし)達を助けたのはわしらじゃ。丁重(ていちょう)に運べよ」

 「…はぁ。まぁ、助かったのは事実だしな。ありがとう。」

 思った以上に素直なレイに運ばれ、アールもノアに運ばれ施設に来てみれば、イツキが笑顔で手を振っていた。


 「どうしてイツキが起きてるの?夜中だよ?」

 「お前、まさか、ハメたのか…?」

 ノアは不思議そうに、レイは怪訝(けげん)そうに見つめている。

 ほほう、そういう事か………


 「イツキ、ご苦労だった、わしらに連絡してきたのは正解(せいかい)じゃったぞ」

 「…え?イツキがアイちゃん達に?連絡を?」

 「………どういう事だ?事と内容に寄っては………」

 「…これこれ、イツキを()めるでない。イツキが連絡してこなければ、わしらはノア達を助けてないぞ?」

 「……そ…そうか…」

 「イツキが助けるよう連絡してくれたんだね、ありがとう。」

 「…きっと、ノアは1人で行っちゃうんじゃないかなぁと思ってね。そしてレイも突っ込んでいくんだろうなと。僕の忠告(ちゅうこく)、何も聞かないじゃないか。」

 イツキは苦笑(にがわら)いを浮かべる。


 「………ねぇ、僕のミルクティは?」

 「我も(のど)(かわ)いた。オイルをよこせ。」

 「僕が先。クロウは()びても動くでしょ」

 「ぬ、それを言うならアールもミルクティ無くても動くではないか!」

 「………無いと動かないよ」

 「そうじゃ、お茶菓子は用意してあるんじゃろうな?」


 「あーはいはい、とりあえずみんな中に入ってください、ノアとレイも、お疲れさま、話は中で聞くからね」


 ノアとレイとイツキの(わだかま)りが無くなったのを確認すると、イツキはアイコンタクトでこちらにニコリとしてきた。


 相変わらず食えない奴じゃ。



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