助け舟
【ノアサイド】
僕が上空に飛び立った時に、地面は砂煙で見えない状態だった。
…レイも一緒に飛び立ったはず、なのに…何処に行ったんだ?
先に行った、ということは無さそうだけど…全速力で施設に飛べって言われたけど…レイ、何処………
「……っ…レイ?!!!」
砂煙が落ち着く頃、地面に横たわるレイと、それを取り囲むコピー達が居た………
まさか、僕を逃がす為に………!
「………1人で、逃げられるわけ、ないじゃないか………レイ…」
僕は、泣きそうになる目をギュッと瞑り、地面に降り立とうとする……
が、その時
ヒュンッ!!バシュッ!!!
遠くから何かが高速で飛んできて、コピーの1体に当たった…あまりの速さに何があったのか認識するのに時間がかかっていると…
ヒュンッ!バシュッ!
ヒュンッ!バシュッ!!
どんどんとコピー達に当たり、倒れていく………
「………分かった、分かりました、降参です。もうノア君とお友達に意地悪しませんよ。」
本体が両手を上げニコニコと降参ポーズを取る。
残りのコピーも本体を守るべく本体の周りに集まる。
「初めから手を出さなければ良かったのに。」
「………クロウ、戻って良いよ。」
2人組の少年少女が姿を現し、レイを介抱してくれる。
「………ぁ…!レイ………!!!」
呆気に取られていた僕も慌てて地面に降り立ち、レイに駆け寄る。
「大丈夫、魔力切れじゃ。」
少女の方はレイの様子を見た後、魔力を分けてくれていた。
「………コピーの方、まだ死んでないよ。」
「当たり前だ、我が手加減してやったのだからな。」
少年は肩に鳥の機械を乗せ、その鳥と話をしている…。
「君達は、一体………」
「いや!そんな事より!助けてくれてありがとう!」
僕はレイを抱えたまま、しっかりとお辞儀をした。
本体は苦々(にがにが)しそうに痛がるコピー達を見て、少女に声をかける。
「…ここに貴女が来るなんて、聞いてませんよ…流石にこの状況、対処して頂けるんですよね?聖女さま…?」
「…その言い方は嫌いじゃが……はぁ、仕方無いのぅ。」
少女らしからぬ口調で答えると、その少女はコピー達を1人ずつ………
怪我を治していった………
「………凄い、君はヒーラーなんだね!」
「……似たようなものじゃな。」
「…違うでしょ…(ボソッ)」
「アール?何が違うのか言ってみぃ?」
「アイがヒーラーとか、面白いなって………」
「おいアール、アイは怒ると怖い、我は知らぬぞ…」
「………って、クロウが言ってた。」
「…我を犠牲にしようとするな!」




