ノアだけは………
【レイサイド】
イツキのアドバイスとやらが効いたとは思いたくないが、ノアが夜中にこっそり抜け出したのを確認して、直ぐに後を追った。
本来なら無理矢理にでも直ぐノアを止めてたと思うが、冷静な判断をしろと言われているからな…イツキの助言を鵜呑みしたわけじゃないけどな…!
そうして追ってみれば、師匠ってやつと対面していた。
ノアが裏切りなんて思ってなかったから、騙されてるのか、もしくは戦争をしないでくれと直談判に行ったかの二択だった。
俺の予想は悪い方に働いた。
騙されてた方がまだ身の安全は保証されただろうに…ノアの周りを数人が気配を消しながら囲っていた。
これはヤバい!ノアが取り込まれる!
もう冷静なんて言ってられないだろ!
俺は早急にボウガンを作り出し、師匠の足元目掛けて牽制のつもりで打ち込んだ。
「ノア!もういいだろ?!帰るぞ!」
「…ぇ、レイ、なんでここに……」
凄い動揺しているのが伝わってくるが、そんな事言ってられない…!
「………おやおや、お友達君かな?残念だけど、この子は返しませんよ?」
師匠が右手を上げると、さっきまで隠れていた気配が姿を現す、5〜6は居ると思われる、師匠のクローン達だった。
「001号君、帰ってきて」
「001号君、行かないで」
「001号君、見捨てないで…」
「001号君………」「001号君…………」
「うるせぇ!ノアにはノアって名前があるんだ!近付くな!」
「っレイ、ダメだよ…!傷付けないで…!誰かを傷付けたら、レイが苦しむ事になる…!」
ノアは、他のコピー達にボウガンを向けるなと言ってくる…だが………!
…せめて、ノアが逃げる時間さえ、稼げれば………
「ノア…俺が合図をしたら、翔び立て……そして施設に向かって全速力で飛べ…」
「…え、レイ、何する気…?」
「氷の壁を作って砂煙を上げる、俺と一緒に飛び立つんだ…分かったな?」
「………う、うん………」
俺が手に集中し、冷気を纏い始めると、コピー達は一気に詰め寄ってノアに手を伸ばしてくる…
「1、2の、3…!飛べ!!!」
ノアが上空に飛ぶと同時に、俺は、周囲に巨大な氷の壁を作り出し、砂煙を上げる。
…そこで、俺の魔力は尽き、俺は意識を手放した………




