師匠の親友
【先生サイド】
彼は人知れず人間に紛れ込んで生活していた。
師匠はクローン生成以外にも、特殊能力持ちを見極める目も持っていた。
最初は友として彼を誘い、思想を話したが、理解は得られなかった。
平和に暮らしたい、そんな彼は純白の羽根を持ち、花を愛でる天使のような存在だった。
わたしには、彼の見た目が天使でも、師匠の思想に寄り添えないような人種は、悪魔のような存在だった。
師匠はそれでも彼を友と呼んでいたが………いつからか彼は、師匠を危険因子と呼び、彼との決裂は時間の問題だった………
そして師匠はわたしに1つの指示を下した。
彼を記憶操作して取り込めないか。
わたしは彼が嫌いだった。
記憶操作は簡単だった、単純に昔からの友であり、師匠の思想を理想とする師匠の親友にしてしまえば良かったから。
だが、師匠は彼と親友になってから、あまり実験をしなくなり、わたしの存在を疎ましく思うようになっていた。
まるで師匠が、彼の思想に染まっていくように…
平和を愛するように…。
師匠はそんな人じゃない!
人間の平和を愛する?
わたし達の存在意義を忘れる?
そんなの師匠なんかじゃない!
わたしが彼の記憶操作をするのは、2度目となった。
師匠と対立するような記憶に仕込んだのだ。




