イツキのアドバイスと忠告
【レイサイド】
最近またノアの様子がおかしい…
考え込んだり暗い顔をしていたりするが、理由を聞いても困ったように笑うだけで何も無いと言う。
幼馴染ではなかったにしろ、1番の理解者で有りたいと思っていた俺はどうにもその様子に手をこまねいていた。
「で、なんか理由知らないか?」
「それで僕のところに来たんだね」
イツキはニッコリと笑う。
コイツとは極力関わりたくなかったが、ノアの本体である師匠との関わりを持ってるのは神無月とイツキだけだから仕方無い。
「僕には何とも言えないけれど、ノアにはノアなりの考えがあるんだろうし、見届けてあげたらいいんじゃないかな?」
「そんな曖昧な答えを聞きに来た訳じゃない…」
聞くだけ無駄だったかと思ったが………
「…1つアドバイスをするならば、ノアを1人にしない方をがいい。もし1人になりたいと言ってきたら、遠くから見守ってあげて。決して目は離さずに………」
「………?分かった……」
コイツの、こういう何か知ってて含んでそうな言い方が、俺は嫌いだ。
こういう奴らは、はっきり言う事が出来ない人種なのかと、同情する。
「…あぁ、あと1つ、君自身にアドバイス。」
「………は?俺自身に?」
「君は一見クールそうに見えて、ノアとヒナちゃんの事になると考え無しに突っ込む事が多いからね。もしどうしても抑えられない状況があったとしても、深呼吸をして冷静に物事を判断した方がいいよ。」
「…………余計なお世話だ。」
俺はコイツの事が更に嫌いになった。
部屋を出ていく時に、イツキが言った
「…でないと、君自身が命を落とす事になるよ………」
という言葉も、余計なお世話だと思ったからだ。




