記憶
【レイサイド】
ノアが目覚めたと聞いてから暫く経った。
意識がしっかりしないと面会謝絶だと言われていたので仕方無い…が、昨日、意識が戻ってきたそうだ。
ようやく会える………
ノアの居ない日々は、心に穴が空いてしまったかのような…今までこんな事、あっただろうか…?
ノアが改造された時も、記憶が無かったとはいえ、こんな喪失感に駆られていた…
が、その前は…ずっと一緒だった…
幼い頃から、幼馴染として…ずっと…
そうだった、よな………?
ノアは、ずっと…一緒………だった…
はず………
俺は、記憶を遡れば遡る程、ノアの存在が曖昧な事に気付く…
なんだ?この記憶は…
モヤがかかってるような…確かに一緒に居たはずなのに、鮮明な事が思い出せない…
まるで………まるで………
これじゃ………あの時のような………
記憶消去電波と、言ってたよな…
もしも、あの機械に、記憶操作のような、記憶を捏造するような機能がついてるとしたら………
俺の、ノアの記憶は…本当に合っているのか………?
いや、そんな馬鹿なはずあるか…!
現に俺が今ここに居るのは、火事の後ノアと出会えたからだ…!
火事の後………孤児院に、来たので……あれば………
な…んで…もっと幼い頃の、ノアとの記憶が……あるんだ………
「…レイ、ノアに会えるよ。」
「……………!」
「浮かない顔だね、せっかく会えるっていうのに…ノアも浮かない顔をしていたよ。」
「元気、出させてあげてね。」
ニコニコと、イツキが笑う。
コイツの、何でもお見通しのような、顔が、嫌いだ…………。




