石丸市長が往く 安芸高田死闘編 第8回 認定こども園(後編)芦田議員の迷走
石丸市長が往く 安芸高田死闘編
第8回 認定こども園(後編)芦田議員の迷走 2024年3月5日
・令和5年(2023年)第1回(3月)定例会
吉田町にある2つの保育園が土砂災害警戒地域にあり、かつ老朽化が進んでいるため建て替えの構想案を、執行部が提案したが否決
→「認定こども園基本構想」の迷走の始まりでした。
・令和5年(2023年)第4回(12月)定例会に市長(執行部)、「認定こども園基本構想」案を再度提出たが、またも否決
・令和6年(2024年)第1回(3月)定例会
まず前段ですが、施政方針の質疑で石丸市長は強い調子で「旧町意識の打破」を訴えます。これは、私には、芦田議員の「認定こども園基本構想」案の反対理由が、まさにこの「旧町意識」だと指摘しているような印象でした。
・芦田議員の一般質問 「認定こども園基本構想」の質疑。(一部、省略しています)
「安芸高田市の中心である吉田町から幼稚園を無くすわけにはいかない」主張し、
以下のような質疑をしています。
①吉田町内に適当な候補地があったのでないか?
②田んぼアート用地には、近くに幼稚園があるが、見解は?
③常友住宅跡地地と旧田んぼアート用地での比較がきていないのに、旧田んぼアート用地を有利として候補にした理由は?
執行部の回答は、①②③のすべて、3月と12月の定例会の時に回答済みでした。
石丸市長が、「答弁済みの質疑は認めない、よく議事を読んで臨め」と強い調子で補足していました。
芦田議員は、反論しましたが、ことごとく市長に跳ね返されていました。
まあ、殺伐とした雰囲気で、やはり、「努力したから反対」なんて言うと、それなりのペナルティが課せられるのだと感じましたね。
石丸市長は、中間派の議員だとしても、遠慮するような事はないですね。
ちなみに、過去に確かに執行部は答弁しており、以下のようでした
①ない、常友団地はコストの問題あり
②合併する3つ園の対象の児童が通うわけなので、問題なし
③財政難、田んぼアート用地は市民の希望で公園にする必要があり、こども園も併設すれば、コストも抑えられる。
この後の質疑は、過去の繰り返しでなかったようで正常化しました。正直なところ、この前の質疑はいらなかったような気がしました。
芦田:今後、常友以外で吉田地区に認定こども園にふさわしい土地が見つかれば検討するか?
部長:これまで通り、費用の事もあるので、総合的に勘案する。
芦田:(キレ気味で)仮にふさわしい土地があれば、検討の余地があるかという意味
部長:そういう意味ではある。ただし、現在が危険な状態なので時間的制約がある
芦田議員、部長に八つ当たりしてもと、思いました…
芦田:田んぼアート用地は公園単独にした方が、周辺施設との相乗効果が見込まれる。また、市民も希望している。
市長:反問権 市民が希望している根拠は?
芦田:市民アンケートの時に、こども園と併設という条件はなかった
市長:芦田議員の勝手な解釈。アンケートで公園の形態条件設定していないし、なにより、こども園だけでなく、公園も作ると言っている。こども園を排除する根拠はない
・芦田議員は、田んぼアート用地の単独での公園整備にこだわって質疑を重ねますが、
市長に以下のように主張されて打ち切りました。
・市長は公園を整備しそこに認定保育園を移転させるのは、現在だけでなく、将来を考えていての事だと、強く訴えます。このさき、少子化はより進んでいくわけで、こども園の定員も減少していく。そうなれば、こども園の縮小は避けられないので、公園に併設したハイブリット型とする。そうすれば、こども園の一部が使われなくなっても、新たに利用することが可能となる。こえからは何を造るにしても、人口減を見据える必要があり、今回でいえば、ハイブリット型しかないと、力説しました。
・芦田議員は次の質疑は、これまでに関係者への「認定こども園基本構想」の説明ができていない理由を質疑します。
また、堂々巡りになるかと思いましたが、執行部は「答弁済み」と切り捨てました。
(これまでも、この件は、その説明のために基本構想が必要だと執行部は主張していまして、その予算を議会がカットしているわけです)
(中略)
芦田:認定こども園時基本構想を作成し住民説明会を開催した後でも、建設用地の変更の可能か
執行部:用地の変更は可能
・この質疑を芦田議員は収穫だと思うかもしれませんが…、どうでしょうか。
【私見】
・冷静になって考えれば、反対する対象は吉田町内の子育て世代くらいでしょうか。これが、
小中学校統合となると、市内の全てが関係してくるし、小中学校は9年間なので、反応は全
く違うと予想できます。
対象の子育て世帯というか、安芸高田市の標準的な世帯は、自動車は持っていると思います。田舎の場合、徒歩で通園する園児は少なくて、大半が幼稚園バスか家族の自動車での送迎なわけです。土砂災害の危険があるならば、5㎞くらいだったら、許容するのではないでしょうか。
それより、公園が併設されたハイブリット型の「認定こども園」なんて言われて、おしゃれな完成予想図でも見せられたら、強く反対はしないのではないかと思います。
ついでに「全国的にも珍しい」とか「広島県で初の試み」なんて加われば、賛成に傾くのではないでしょうか。
常友住宅跡地なら土砂災害の危険はないとなっていますが、ハザードマップを見てみると、ギリギリで外れている感じです。直撃しないから安全だというのは、認識が甘い気がします。周辺が高齢者、病人、未就学児などは、迅速な避難行動は難しいですね。そのため、そういった人々を収容する施設は、可能な限り安全な場所に建設するべきかと思います。
・芦田議員は、自身が行ったアンケート調査の結果をもとに反対論を展開します。しかし、石丸市長に、結果の解釈が間違っていると指摘されてしまします。
芦田議員の口頭での数字ですが、記してみます。
対象者;120人(吉田保育所75人、みつや保育所45人) 回答者:97人(74.6%)
①認定こども園整備計画について ・知っている 77.3% ・知らない 22.3%
②現在の幼稚園が土砂災害警戒区域 ・知っている 約95%
③送迎 ・自家用車 97.3% ・自転車 1% ・徒歩 1%
④旧田んぼアート用地への移転 ・賛成 32% ・反対 37.1% ・わからない 30.9%
‘④の「わからない」の回答に()を付けて、自由に意見を書いてもらったそうなの
ですが、否定的なコメントが17件にあったらしいです。そこで、芦田議員その17件を反対に加味して、60%が反対と分析したわけですね。
当然ですが、石丸市長に、フルボッコにされていました。
それより、自家用車が97%なので、距離の問題はあまり重要でないし、現時点で賛成が、32%というのは、かなり良い数字と捉えられると思います。
このアンケート結果から、芦田議員が計画をフラット(白紙)にするべきだと結論付けて、主張したのは驚きでした。
それに対して、石丸市長は、基本計画を作って前に進むのが真っ当な対応だろうと反論していまして。
「賛成」「反対」「わからない」が、3割で拮抗しているわけですから図面(完成予想図)や予算などを含む基本構想を作成するのは、当然だと思います。
質疑(終盤)
石丸市長:最優先事項は何か?
芦田議員:「安全面」が最優先、「財政面(予算の制約)」「利便性」と続く
市長:ならば、最優先事項は「子どもたちの安全」、2番目は予算の制約、最後が「利便性」この、1.2.3で検討した結果が、執行部の提案している内容です。それゆえフラット(白紙)に戻すことがあっては、絶対にダメ、芦田議員も納得したと認識している。
これ以上、無為に時間をかけるべきでない、すぐに議論にかかるべきだ」
芦田:吉田小学校の学校区等からもアンケートを取って有り、鋭意精査中なので、後日報告する。皆さん(市民?)の声を市政に反映していきたいと考えています。以上」
・芦田議員ですが、まったく納得した様子はなかったようで、かえって意固地になり、今後
も強硬に反対するのでしょうね…
さきほど「子どもたちの安全」が最優先と言ったばかりなのですが、どうやって折り合い
を付けるのか、袋小路に迷い込んでいる印象です。
「旧町意識」イコール「正義」という、思考回路なのでしょうか…
かくして「認定こども園」の迷走は続き、子どもたちは、置いてきぼりとなり、大雨が…なんて、展開があるかもしれないので、冷静になって考えてほうがいい気がします。
【蛇足1】 以下は私の推測ですので軽い気持ちで読んでください。
常友住宅にはまだ入居者がいるわけで、退去がうまくいかない可能性はあるわけですね。幼稚園を跡地に移転させるなんて決まると、タイトなスケジュールになります。
それで住民を追い出すような形になって、不満が爆発してとか、または、よからぬ発想を起こす住民が、退去を渋るとか、最悪のシナリオも想定でます。
そんなわけで、関係する市職員は、常友案は避けたいと考えている気がします。
【蛇足2】 サマーウォーズ(アニメ映画)
この間、海野がらみでちょっと触れたアニメですが、紹介します。
サマーウォーズは、2009年に劇場公開されていまして、監督は細田守さんです。
ネット上の仮想区間であるOZが世界中に普及しており、ユーザーは自分のアバターを使って、買い物やゲーム、各種決済や行政手続きなどの様々なサービスを受けています。そのOZが謎のAIであるラブマシーンにハッキングされて、世界中に混乱が広がってしまうわけです。
主人公の健二は、あこがれの先輩である篠原夏希に頼まれて、長野県上田市の陣内家に赴きます。陣内家は夏希の母の実家で、曾祖母の栄の90歳のお祝いのためでした。そこでの健二の役割は、夏希の婚約者のふりをすることでした。
そこで、いろいろとあってネット上の仮想区間OZで、AIであるラブマシーンと健二が闘う展開となるわけです。
長野県上田市の夏希の実家である陣内家が舞台となっていますが、この一家というか一族がやっぱり良いですね。旧家のお屋敷に二十数人の親族が、栄の90歳のお祝いのため集まっているわけです。お盆の時期で、子どもたちがスイカを食べるシーンや上田市の街並みなどが、郷愁を誘って、日本の原風景を感じさせます。一方で仮想空間でのバーチャルな闘いが描かれていまして、そのギャップに驚かされました。
観終わった後に、ほっとするような満足感が得られる映画でした。
◆「石丸市長が往く」などのエッセイは、下記のサイトでまとめて掲載していきます。
https://nikki982.com/