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例に倣って転生してみた  作者: ももやん
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〜第1章:見知らぬ空〜

 俺の18年の人生は、俺の100万を盗んだやつを追いかけているときに車にぶつかって終わった・・・はずだった・・・


 「はずだった」というのは、終わらなかったからだ・・・


 よくわからないが、目が覚めるとそこは「見知らぬ天井」ではなく、「見知らぬ空」だったんだ。パッと見たときに病室とか、建物の中ではないというのを直感的に感じたが、空の色がいわゆる「青空」でも「夜空」でもなく、少し紫がかったような、夕焼けから夜に移り変わるときの空の色に近いけど、それとも違うような・・・なんかそんな空だった


 車にぶつかった割には体の痛みはなくって、でも、見たところ、自分の住んでいたところでもない・・・


 「これは、もしや『転生』というやつでは??」


 俺はなんとなく直感した。だって、車にはねられて気がついたら普通は病院にいるはずだし、病院に行くほどじゃなかったのなら、地元で車に轢かれた場所にいるはずだもん。転生してスライムになっちゃった有名小説のような『世界の言葉』なんて聞こえてこなかったけど、絶対なにかあるはず!そう思ったんだ


 俺はすぐに立ち上がる(立ち上がった時点でスライムじゃなかった)と、自分の体を確認した。鏡がないから顔については変わったのか元のままなのかわからないけど、少なくとも体の形は元のままだった。1点だけ違うとすれば、顔に手を当てたときに気がついたんだけど、かけていたはずのメガネがなくなっていた。それにしては普通に見えてるから、「これはきっと異世界に渡ったときの『ギフト』とか、『スキル』のひとつなんだろう」と気軽に考えたいたんだ。


 「さて、ここでこうしてても仕方がないなぁ。この世界にどんな人(魔物?)がいるのか探るかなぁ」


 パッと見たところ、すぐそばに人がいる気配はなかったが、『せっかく転生したのだから、小説や漫画のように『スキル』を使って、自分の国でも作ろうかなぁ。かわいい魔物の子がいたら、仲良くなりたいなぁ』なんてのんきなことを考えながらとりあえず歩き出したんだ。でも、しばらく歩いても景色が一向に変わらずなにもないばかりではなく、どこにも人のいる形跡がないんだ。


 「おいおい、せっかく転生したのに、俺の『スキル』を使う場所もないのかよ」


 流石に体感で2時間くらい歩いたにも関わらず、何も見つけることのできなかった俺は、そう呟いた。でも、当然のごとく誰も返事をしてくれる人はいなかった。当たり前だ。まわりに人の気配がまったくないのに、声がしたら、びっくりして腰を抜かしてしまう!仕方がなく、俺は紫がかった空の下、その場に寝転んで一旦休むことにした。


 「腹減ったぁ」


 そりゃそうだ。事故からどのくらいの時間が経ったのかわからないけど、今日だって気がついてから何も食べてないんだもん。でも、家を出るときに持ち出した食料もすべて盗まれちゃったし、あたりには草も木もないから、食べられるものなんてどこにもないんじゃないかとしか思えなくなってきていた。しばらくは、久しぶりに何時間も歩いた疲れでウトウトしたりしてたけど、そんなことを繰り返していたら、腹の減り具合がどうにもこうにもガマンできないレベルになってきた。


 とはいっても、食べ物があるわけではなかったから、寝転んだまま少し体を横に向け、膝を抱えるようにしてなんとか腹が減ったのを紛らわせようとしていたその時だった。


 「なんか聞こえる!!」


 体が横向きになって耳が地面に当たった瞬間、どの方向からかがわからないけど、かすかに人が喋ってるような声が聞こえてきたんだ。地面に耳を当てて遠くの音を聞くっていうのは、オヤジの好きな時代劇で見たことがあったけど、実際に人の話まで、かすかに聞こえるものだとは思ってなかったから、ものすごく嬉しくって、そしてめちゃくちゃ舞い上がってしまったんだ。その音のおかげで、『絶対人はいる』と元気が湧いてきて俺は立ち上がろうとした・・・その時だった


 手をついたところに小石のようなものがあったのだが、それに手が当たった瞬間、地面から扉がせり出してきたんだ。


 「??なんだ??これ??」


 頭の中に「?」が浮かんだけど、明らかに俺がいた世界にもあった扉だったし、扉というよりは、家族で住んでいたマンションの屋上の出入り口のような感じだったから、人が作ったものだとすぐに分かった。


 「よし!いっちょ、俺のスキルで俺が住みやすい国を作ってやるか!」


 俺はあまり深く考えず、その扉を開けて中に入ることにした。自分のスキルがなにかもわからず、相手がどんな人なのかも知らないままに・・・今から思えば、扉が地面からせり出てくるなんて、昔親父が見せてくれた『使徒』が襲ってくるのに対抗するための第3だか第4新東京と変わらないのに、そのときは全く気がついていなかったんだ

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