スーツ第三話(警察組織は何か隠している!)
第三話
この日を境に、俺は悪夢にうなされるようになってきた。
夢の内容はうろ覚えだが、最後は必ず「かさこそ、かさこそ、木々を揺らす音で目が覚める。
びっしょりと濡れたパジャマ、額から滴り落ちる汗。
連日の悪夢はやはり自由の党幹事長 八神徹氏の第一秘書 道浦公さんの怨念か。
いささかオカルトチックだが、俺自身はそんなもん全然信じていない。
でも、なにかが引っ掛かっている。
あいまいな記憶に中だけで、その「かさこそ、かさこそ」音は続く。
何なんだこれは。
もしかしたら、何か思い出そうとしているのかも知れない。
翌日、第二公園に近い、寺尾中央交番に赴いた。
「お電話しました、残間道郎です、どなたかいらっしゃいませんか。」
交番の入口には「ただいまパトロール中です。何かあったらこの番号に連絡してください。」っとだけ書いてある看板を目にする。
何かあったらじゃ遅いのではないか。
多少不信感もあったが昨今のコロナ禍での人員不足か、はたまた、やばい事件が続き、パトロールの機会を増やさなくっちいけなくなったのかもしれない。
電車内で物騒な事件が続いている。
これもコロナでの人々の不安感が原因かも。
早く治療薬と国産ワクチン生産しなくてはいけない。
こんな所で油売ってる場合じゃないが。
またまた、仕事脳に入りそうになっていると、駐在所の入口が開き、年若い警官が入って来た。
「事件ですか、事故ですか。何かあったんですか。」
少しかったるそうに言った。
「昨夜お電話致しました、残間道郎ですが、第二公園の件で話に参りました。」
「貴方が残間さんですか、話は伺っています。聞きますよ、なんでも言ってください。」
少々小馬鹿にした物言いにさすがにむかつく。
「あのね、私は国民の義務で来てるんですよ。」
「身分を証明するものお持ちですか?」
俺の話を完全に無視していやがる。
むかつきながら、仕方なく運転免許証出したが、完全に馬鹿にされてる。
この若造は薄ら笑みさえ浮かべながら「残間薬品の社長さんってお聞きしていますが、35歳 お若いのにすごいですよね。」
「すいませんが、世間話に付き合ってる暇、無いんですよ。わざわざ時間作って来たんですよ。」
さすがに年若い青年警察官も申し訳なさそうに縮こまる。
「貴方、残間さんは5月20日ランニング中に倒れたのを通りかかった方が救急車と一応警察に通報されたんですよ、その際こちらの2人の警官と確かに鑑識1人で現場に急行したのは事実ですよ、残間さん、何か残間さんが飲まれていたのをその方が見ていたらしく、それで一応鑑識係も駆け付けた訳です。以上ですが何か質問ありますか。」
辻褄は合っているように思える。
が、引き下がらない。
「だから、私は、木陰で横たわっている、テレビニュースで写真が移っていた 八神氏の第一秘書 道浦公さん見たんですよ。その時にそちらの警官の方が仰っていたんですよ、貴方が見つけた方は亡くなっていますって。」
「少しお待ちください…。確かにあの時私共所属の警官が2人鑑識1人通報で第二公園に言っていますが、ええっと高橋巡査、岡崎巡査、鑑識は警視庁から富山純さんですね。もしなんだったら高橋と岡崎が出の時に来て見ますか。納得していない様ですから。」
「ありがとうございます。そうしてみます。連絡お待ちしております。」
そう言い残して俺はしぶしぶ帰ったが、警察に対する不信感は明らかに増している。
組織ってこういう感じか。我々庶民の税金で飯食っているのに。
分からん。
でも、もし俺の完全な勘違いなら…。
いや、そんなこと絶対にない。
あの時、木陰で見たんだ。
道浦公さんのご遺体を。
だって、鑑識のなんて言ったけ、富山純さんが警官に耳打ちし、残念ながら亡くなっていますって言ったじゃないか。
俺の思考は堂々巡りを繰り返していた。
しかし、俺が確かに手にしていたスポーツドリンク飲んだが、そんなんで、わざわざ警視庁の鑑識が来るなんてなんか大袈裟じゃないか。
なんか、隠している。
それはこの事件が始まってから胸の奥に常にひっ掛かってる。
なんか完全に隠している。
市民の味方警察組織が。
その夜も悪夢を見た。
かさこそ、かさこそ、その音は次第に大きくなり俺の視界は落ち葉で包まれている。
その時だ、苦悶の表情の道浦公さんが白い靄の中で俺を手招きしている。
かすれ声で「それでいいんだよ」仰っている。
その言葉を残し彼の姿は靄から消えてしまった。
と同時に大量寝の汗と共に飛び起きた。
絶対に変だ。
警察は何か隠している。