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~お姉さんと進むギルド王国~  作者: 二月ふなし
第2章 ヴァリアード強襲 編
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71.アッシュの反撃

 ラズライト遺跡で最も高所に位置する高台。

 ここでは遺跡全体を見渡すことが可能。

 侵入者をいち早く発見することができる。

 

 現在、そこに誰かが陣取っていた。

 女性だろうか、肩に掛からないほどの透き通った銀髪、目の色は輝く紫。

 随分と露出の多い恰好をしており、この国では滅多にお目かからない褐色のお肌

 そして、なぜか耳が尖っている。

 ひょっとすると人間ではないのかもしれない。


 女は片膝をつき、右手を支えるように左手でそえる。

 右人差し指の先には光が発せられている。

 それを右目の近くに置いて、片目だけで遺跡全体を観測していた。


「……いない」


 女から静かな声が漏れた。

 情けないことに敵を見失ってしまった。

 だが、50メートル付近にいることは確実。

 ここまで接近されたの予想外であるが、敵もあまり余裕はなさそうだ。

 次に姿を現した時が、そいつの最後。

 

「…………」


 その時が来るのを、息を整えてジッと待つ。

 今までだって何度もそうしてきた。


 しかし、今度は中々姿を出さない。

 これ以上接近できずに立ち往生しているのか、それともまた下らない策でも練っているのか、なんにせよ次で仕留める。

 アレ・・は誰にも渡すつもりない。

 自分が認めた者以外は。


「……?」


 ふと、背後から何かの気配を感じた。

 先ほどまで全く感じなかったヒューとした何かだ。

 女がゆっくりと振り向くと、


「っ!」


 そこにはオーブが浮いていた。

 人の頭部より少し大きく、緑の輝きを放つ光の玉だ。

 まるで女を観察するかのように、その場をふわふわと漂っている。

 

「これは……」


 これは一体なんだろうか。

 なぜか自分の背後にオーブがある。

 敵はまだ50メートル付近にいるはず、後ろにいるはずがない。

 女は少し考える。

 そういえば、先ほど敵が似たようなものを出していた。

 ということは……


「っ⁉」


 次の瞬間、オーブが女めがけ、急発進した。


「くっ⁉」


 女はギリギリ身体をそらし、それを回避した。

 

 しかし、オーブが再び軌道を変えて襲いかかる。


「っ⁉」


 地面に片手をつき、身体を大きく浮かせて器用によけた。


「どこ」


 女は素っ気ない声でそう言った。

 敵がどこかで自分を見ている。

 だが、高台から顔を出して遺跡を見渡しても、敵の姿は確認できない。

 位置的に相手も顔を出せなければ、自分の場所はわからないはずだ。


 女は一度、高台の中央に移動した。


 ここなら遺跡のどこにいようとも、下からでは自分の位置を把握できない。

 しかし、それはこちらとて同じ。相手を探せない。

 でも、まずはしつこいあれを落とすのが先決。

 

 そう思い、敵のオーブに目をやると、


「っ⁉」


 再び女めがけ、光の玉が急発進された。

 しかも正確に。

 

 女は不意を突かれはしたものの、すぐに身体をひねってかわす。


 オーブが進路を変え、また襲いかかって来る。


 女は左にかわす。


「おかしい」


 敵のオーブが正確に飛び込んでくる。

 一体どこから見ている。

 真上からでも見てるとでもいうのか。

 自動で追尾するのか、いや違う。

 意思を感じる。これは明らかに敵が操作している。


「っ!」


 それにこのオーブ、かなりの量が込めている。

 直撃は危険だ。

 こちらの動きを読んでるのか、大変よけづらい。

 これを躱し続けるのは難しいだろう。


「落とす」


 うっとおしい。

 右人差し指を左手にそえ、先端に光を収縮させた。

 敵のオーブに狙いを絞り、それを向ける。


 バシュンッ!


 そして、綺麗な指先から直線状のビームが発射された。

 密度を高めているため、範囲はとても狭い。

 だが、当たると岩だろうが鋼鉄だろうが難なく貫通する。

 

 緑の玉に一直線に向かう。


 しかし、


「っ⁉」


 光の玉はスルリと躱した。


 再び標的にめがけて突っ込んでくる。


 女は右によけるも、驚きを隠せないようだ。


 相手のオーブが避けたこともそうだが、そもそも躱せる速度ではなかったはず

 つまり、こちらが発射する瞬間、敵がそれを察知してオーブを移動させたのだ

 そんな細かな動作まで分かるというのか。

 

「うっ⁉」


 そう考えてる内にも、次々にオーブ襲いかかって来る。

 このまま一方的にやられるのは性に合わない。

 女はそう思う。


 やがて、再装填が可能となり、再び人差し指を構えた。

 例え意思があろうとも、当てられない速度ではない

 今度は外さない。

 

 指に光を集中させ、発射体勢を整えた。


 フワフワフワ……。


 オーブもそれを察知し、一度攻撃の手を止めた。

 警戒している。

 またスルリと回避して見せるつもりだ。


「…………」


 緊張の一瞬……。


「落ちて」


 オーブの弾丸を発射した。


 バシュンッ!

 

 今度は狙い通り、ど真ん中に命中させた。

 貫かれたオーブは風船のように弾けて消滅する。


 相手はそれなりにオーブを込めているようだが、それはこの女とて同じ。

 しかも、高密度に圧縮しているのだから、威力は女の方がずっと上だ。


「ふう……」


 女が一息つく。そして考えた。

 こちらは再装填に時間がかかる。

 おそらくそれはあちらも同じだろう。

 モタモタしていると再びあのオーブがやってくる。

 もう狙撃は難しい。それなら下りて戦うしかない。

 まさか、自分がこの地形で不利になるとは思いもしなかった。


「……仕方ない」


 高台から下りることに決めた。

 遮蔽物があった方が敵の攻撃を避けやすい。


 主力となる狙撃は完全に封じられてしまった。

 もう敵を見つけて直接叩くしかないだろう。

 そういう戦い方は自分には合わないが、そうは言っていられない。


 女が立ち上がり、移動しようとした。


 とその時、


「──動くなさ」


 背後から男の声がした。


「っ⁉」

 

 女は驚愕する。

 それは先ほどからオーブを操っていた張本人、


「…………」



 アッシュだった。

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