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~お姉さんと進むギルド王国~  作者: 二月ふなし
第1.5章 覚醒アッシュ 編
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45.外側と内側

 一方、外では。

 引き続き、プラスと魔王が戦っている。


 前回、悪魔の圧倒的な力を前にして、プラスは押されていた。

 それは、頭の中に絶望の二文字がよぎるほど。

 内心ではもう勝てないと諦めかけていた。


 しかし、流れは変わっていた。

 

 戦闘。

 

 プラスの拳が相手の顔面を捉えた。


 魔王は反撃するも当たらず、プラスの攻撃がまたもヒットする。

 

 ひたすら接近戦を仕掛けている。


 それを嫌がった魔王は、距離を取ろうとするも、逃げられない。

 さらに一撃もらう。


 急激にパワーダウンしたことに、プラスは戸惑っていた。

 だが、また力が戻ればとても敵わない。

 チャンスとばかりに責めていた。


 さらに、オーブでの攻撃は効かないことに気づいたようだ。

 破裂(バースト)以外でのオーブ使用は極力避け、拳で殴ることに徹していた。


 魔王はその場から離れ、大量のオーブを放つ。

 執拗な接近を阻止しようとした。


「逃がさないわ!」


 プラスは巧みによけながら、敵の元まで急接近。


 魔王は逃げる。

 時間を稼いでいるのは明らかだ。


 プラスは逃がすまいと追いかける。

 

 やがて、先回りし、魔王の行く手を塞いだ。


 再び接近戦。

 プラスの一方的な暴力が襲い掛かる。

 魔王が両腕を固めて守るも、スキだらけとなった腹部に一撃。


「ぐっ⁉」


 魔王が悶絶し、腕が下がる。


 すると、すぐに空いた顔面に拳が飛び込んできた。


 お顔、お腹とキレイな上下の打ち分けで攻めていく。

 このお姉さん、かなり喧嘩慣れしている模様。


 いかに悪魔といえど、今は子どもの肉体を借りているに過ぎない。

 お姉さんの拳が普通に痛かった。

 

 プラスの蹴りが腹部を捉え、少年の表情がくもる。


 次に頭を掴み、地面に思いっきり叩きつけた。


 間髪入れず、倒れた子どもにガバッと馬乗り。

 体重をかけながら容赦なく拳を振り下ろす。


 綺麗なお姉さんが鬼の形相で殴ってくる。

 また上にいて重いため、身動きが取れない。


 たまらず両腕を上げてガードする。


 が、瞬時にプラスが右手で掴み、それを押さえつけた。

 空いた左でその無防備な顔を殴りまくる。


 壮絶な泥沼戦の最中、


 いける、これならいける。


 と、無抵抗な子どもを殴り続けた。

 もうどちらが悪魔なのか分からなくなっていた。







 ──時を同じくして。

 アッシュの精神空間。


 ここでは2人の少年が、壮絶な戦いを繰り広げていた。

 外にいるプラスの攻撃により、空間が時おり激しく揺れる。


「べぼっ⁉」


 アシュベルがもらう。

 少しずつではあるが、動きに対応できるようになっていた。

 まだ相手の方が結構優勢である。

 しかし、一方的に攻められることはなくなっていた。


 一方、魔王は眉間にシワを寄せる。

 こちらに力を多く回しているため、外のプラスと戦う余力が残っていなかった。

 一刻も早く始末したいところ。

 しかし、予想よりも粘るため長引いていた。


 外ではキレイなお姉さんの無慈悲な暴力にさらされる。

 中では癇にさわる悪魔の相手をしなければならない。

 状況は最悪だった。


「うおっ! きたきたー!」


 急に地面が大きく揺れた。

 外でプラスが暴れているようだ。 


 あまりに大きな揺れのため、魔王は体勢を崩す。


 アシュベルの方は、この揺れも考慮して、と言うより楽しんでいる。

 崩れつつも器用にバランスを取る。


 スキを突いて、アシュベルが一撃入れた。


 魔王はすぐにその場を離れ、連続でオーブを発射。


 アシュベルは笑いながら弾いていく。


「ギャアアアア!!!」


 が、やはり捌くことができない。

 一度ミスると、そこから次々に叩き込まれ、手痛いダメージを受けてしまう。


「ど、どこに行ったのさ⁉」


 煙に包まれ、またも相手を見失ってしまった。

 アシュベルはオロオロする。


 背後にいた。

 間抜けなほどスキだらけだった。

 魔王がオーブを乗せて攻撃するも、


「わっ!?」


 またも地面が揺れた。


「そこか!」

 

 揺れに救われた。

 アシュベルが振り向き様に、アッパーをねじ込んだ。


 次に魔王の胸倉を掴み、地面に叩きつける。

 そのまま至近距離からオーブをぶっ放した。


「あっ、やべっ……」


 が、破裂(バースト)で逃られてしまった。

 アシュベルは自分が放ったオーブの爆風に巻き込まれた。


「やるな! ゲホッ」


 爆風から顔を出す。


 互いに破裂(バースト)で距離を詰め、接近戦。


 やはりアシュベルが押される。

 真面目に戦えばことごとく上を行かれてしまう。

 だが、何度攻撃を受けようとも引かず、しつこく食らいつく。


「フッ」


 突然、アシュベルが動きを止めた。

 自信満々に腕を組んでいる。


「フフフ……」


 何か企んでいるのか。

 魔王は一瞬躊躇したが、


──バンッ


 またも、地面が揺れる。


 アシュベルがニヤッと笑い、顔面をフルスイングで捉えた。

 魔王はぶっ飛ぶ。

 

 距離を詰め、再び接近戦。

 この悪魔、なぜか揺れるタイミングが分かっているようだ。


 魔王が疑問に思っていると、再びアシュベルがピタッと止まる。

 2人とも揺れに備えた。


 しかし、


「ありゃ?」


 何も起きない。

 棒立ちのアシュベルが無防備のまま攻撃を受けた。


 コロコロと転がり、壁に激突した。


「チッ、なんで揺れてくれないのさ!」



 予想が外れた。

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