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「転生したら、生まれ変わっていました」

「俺ももうここまでか・・・・・」


孤独な部屋で床に伏した男が呟く、彼は自分に死が訪れるのを感じていた。


「色々なことは精霊が解決してくれたが・・・死だけは結局どうにもならんか」


「≪精霊召喚≫....転生の精霊」


彼の前に青白い光が現れる


「次の人生も、もっとやりがいがあるのを頼むぜ・・・・・」


「次は必ず・・・≪死の精霊≫を消滅させてやる・・・・」


男は最後の力で精霊にそう告げ、息絶えた。


男の死体を精霊の光が包み込む・・・・

___________________________________________


大泉 進一郎 環境大臣は窮地に立たされていた


明日に控えた各国の環境大臣によるサミット、彼は一国の環境大臣として会議に出席する


しかし彼の頭の中には何ら具体的なビジョンはない


「CO2の削減、原子力発電の是非、持続可能な開発・・・・」


彼はこれらの問題について明確な回答を出すことができない


家柄と容姿に恵まれた彼は、生まれた時から大臣になることを約束されていた


小さいころから社交界で育った彼は政治的なコミュニケーション能力を高めていき


それが彼の政界進出の大きな武器となった


政治家のコミュニケーションの肝は「敵を作らないこと」である


そのために彼はあらゆることに明言することを避けてきた


自分の立場を表明すれば、逆の立場の人間から批判を受ける


それを避けるために彼は当たり前のことしか言わない、1+1=2に反発する人間はいないのだ


しかし、彼は今や一国の大臣である。国としての立場を示さなければいけない


コミュニケーション能力は一級品であるが、お勉強の方はからっきしだった彼には


正直環境のことなんか何が何やらわからなかった


明日のサミットには環境のプロたちが多数参加し、彼に意見を求める


「どうすればいい・・・・どうすれば明日をやり過ごせる・・・」


サミット開始まであと1日もない、高級ホテルのスイートルームで彼は一人頭を抱えていた


ふと、彼は窓に目をやった。高層ビルから見える、きれいな夜景がある


彼はバルコニーに出て、柵に肘をつき、現実から目をそらすかのように夜景を眺めていた。


バキっ


体重を掛けられる想定をしていなかったのか、柵はたやすく壊れた


全体重を柵に掛けていた彼の体は、夜の街にダイブした


「おい、マジか、うあああああああああああ」


彼は地上300mから真っ逆さまに落ちていく


「こんなことが、ああ、うあああああああ」


「こんなので、、、死にたくないいいいいいい」


空中に放り出された体はどうしようもない


意識はどんどん薄れていき、彼の頭を走馬灯がめぐる


彼の体が地面に叩きつけられるその時


「≪精霊召喚≫飛行の精霊 体を浮かせ」


彼の口から予期せぬ言葉が飛び出した、と同時に彼の体は地面との衝突を免れる


体がふわふわと宙に浮いているのだ


「部屋まで戻せ」


おぼろげな頭のままそう口にすると彼の体は元居た部屋へと戻ってきた


だんだんと冷静さを取り戻してきた彼の頭に、前世の記憶がよみがえってきた


「そうだなんで今まで・・・・俺は・・・・・」


「俺は精霊使い・・・カドリック・・・・」









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