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97.この気持ちは恋ですか？

　この間のハプニング？　があってから、レオと会えなくなりました。

　お兄様に聞いたら実家に戻ってるんだって。

　何かあったのかな？　でも皆何も言わないし大丈夫って事なのかな？

　「はぁ……」

　「リリィどうしたのよ？　溜息連発して」

　今日は久しぶりにアディと二人きりのお茶会です。場所は自室。その方が大っぴらに色々話せるしね。

　「アディこそ、体調は最近はどうなの？」

　「あ……うん、もうほとんど大丈夫よ」

　「また落ち着くポーション渡すから飲んでね？」

　「ありがとう。リリィって本当にすごいわよね、尊敬しちゃう」

　「何言ってるのよ！　尊敬するのは私の方よ。アディは毎日本当に頑張っててすごいわ」

　本当に凄いのです。王妃教育はもう終わっており今は既に実務をこなしているのですから。

　それはもうこのまま何も問題が起こらなければテオが次の王でアディが王妃という事。

　「がんばってはいるわ……」

　あら？　いつになくナーバスな感じね？

　「どうしたの？　アディやっぱり何か悩んでる？」

　「うーん、何も起こらなければ……このままテオ様が王に……でしょう？」

　「そうね、そういう話よね？」

　「最近、私は……テオ様に相応しいのかしら……ってふと考えたりしちゃうのよね」

　「え！？　どうしちゃったの？　アディ以外にテオの婚約者は考えられないよ？」

　「そう言ってくれると……嬉しいけど」

　……あの日、中等部2年に上がった日からなんとなくアディの様子がおかしいんだよね。

　何かあったんだろうけど……

　「アディ……あの日から何かあったんだろうな……って思うけど」

　「─── 」

　「……話したくても話せない事も沢山あると思うんだけどさ、例えば他言無用だけどどうしても聞いてもらいたいとか、話したいとか言う事があったらさ……」

　「──あったら？」

　「守秘義務は守るよ？　誓約魔法掛けてもいいし。私魔女見習いだしさ！」

　うん、私は魔女見習い。人の相談にも乗れるはず！！（多分）

　「ふふっ、ありがとうリリィ。……もう少しだけ悩む時間をちょうだい？　いずれどうしても話したい日が来ると思う。その時はすぐに相談する」

　「アディ……分かった。その時はちゃんと聞くからね！」

　「ええ。お願いね！　そういえばレオ様……」

　急に出てきたレオの名前に頬がポッと赤くなった気がする……。

　「──っっな、何？」

　「顔真っ赤よ？」

　「──コホン。レオが何だって？」

　「リリィの方こそ何かあったの？」

　「──っっ。えと……まぁその……まあいいのよ、それは。でレオが何だった？」

　説明しづらいし……今は誤魔化すべし！！

　「レオ様、今ご実家に戻られているでしょう？」

　「そうね、私もこの間お兄様に聞いて初めて知ったわ」

　「そうなのね。帰られているのは隣国の王女様を迎える為の護衛に抜擢されたかららしいわよ？」

　「隣国の王女の護衛……」

　「ええ、ヴィータ様の婚約者候補として、顔合わせと少しの間学園にも来るらしいわ」

　「へぇ！　ついにヴィータにも婚約者がでしるかもしれないのね！！」

　──ん？　でも何でレオが？

　「そうなのよね。なかなか婚約者候補が決まらなかったから、良い方だといいのだけど……」

　「ねぇ、何でレオが？　護衛に抜擢されたのはすごいけどなぜわざわざ辺境まで迎えに行くの？」

　「王女様の希望らしいわよ？」

　「……知り合い？」

　「さあ？　詳しくは判らないわ。ただご本人たっての希望らしいわよ？」

　「───。」

　なんだろうな、何か……胸がモヤモヤするな……。

　「無事に戻ってくる事が前提で失敗は許されないから大変だと思うけど、レオ様にとっては簡単な事かもしれないわね」

　確かにレオならば簡単な任務だとは思う。今、他の誰よりも実力があると言われているし……。

　レオの所(実家)を通ってマルタンに入ってくるなら、そりゃあよく知っているレオが適任なのは分かるけどさ……

　何で王女様が希望するの？　っていう所が引っかかるのよね。

　モヤモヤ。

　私もアディに渡しているポーション飲もうかな……。

　「リリィ？」

　「──あ、うん」

　「……少し嫌よね」

　「──え？」

　「え？　だって自分の好きな方が同じ年代の女性と一緒だなんてお仕事だと分かっていても妬けるわよね？」

　「──っっや、妬ける……このモヤモヤはそういう事……なのかな？」

　「モヤモヤしてるの？」

　「うん……モヤモヤしてる」

　「フフッ。レオ様を取られたみたいで嫌なんでしょ？」

　───そうなのかも。

　え！？　大変！！

　「アディ。私、勝手にレオの事自分のモノなのに！　って思ってた……。レオは誰のモノでもないのに……」

　「……なんでそっちに転がるかな？　いい？　リリィ、貴方はレオ様の事どう思っているの？何故モヤモヤするの？」

　───。

　「レオ様の事好きなんでしょう？誰にも渡したくないと思うくらい」

　───。

　「それともいいの？　レオ様だってこのままではいられないでしょう？　今のままだとそのうちに……婚約者だって出来ちゃうかもしれないのよ？」

　───っっ！！

　「それは、嫌……」

　「そうよね？　それってレオ様の事が好きって事でしょう？　そろそろきちんと向き合わないと」

　「──ちょっ、ちょっと待って！！」

　私……レオに対してキュンキュンするし。それは他の人にはそんな風にならないし。モヤモヤもするし。誰にも取られたくないし。キスも……抱きしめてくれる腕もレオ以外は考えられないし……。

　自分以外の人がレオの横で微笑んでるのとか……嫌だ。

　───私、レオの事好きなんだ。

　カチッとなにかが胸の中で嵌まった気がした。

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