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96.アデライト・デュポアは悪役令嬢ですか?

 


   皆様、ご機嫌よう。



 アデライト・デュポアと申します。

 仲の良い方々からはアディと呼ばれております。

 公爵家の長女で、マルタン王国第一王子 テオドール殿下の婚約者をやらせて頂いております。


 私とテオとの出会いは王家のお茶会よりも少し前の事になります。

 当時の私は少し我儘だったと自負しております。王宮からテオドール殿下の婚約者候補のお話を頂き、一度顔合わせを……と王宮へ向かった時が初対面でございます。


 当時3歳の私は殿下を一目見た時から恋に落ちました。


 誰のモノにもなって欲しくない。

 私だけのモノになって欲しい!

 心からそう思いました。

 

 我が家は公爵家。

 他の家の方々に文句を言われる筋合いはございません、とばかりにテオ様の側でくっつき虫みたいにベッタリしていたのを覚えております。


 殿下と結婚したいとお父様お母様に無理を言って婚約者候補筆頭になりました。


 当時3歳にも関わらず、不摂生や化粧で肌は荒れ、日々イライラとした感情で侍女やメイドに対して苛立ちをぶつけていました。


 嫌な女の子だった自覚があります。


 殿下の婚約者候補の中でも一番年齢が下だった事も負けたくないという気持ちが強すぎて拍車を掛けて最低な女の子に成り下がっていったのだと思います。



 そんな時、王宮で殿下の側近と婚約者候補達を招いたお茶会が開かれたのです。


 ここでも私はテオ様の婚約者筆頭として、気合いを違う方向で入れてしまっておりました。

 ギラギラとした変に大人っぽいドレスに厚化粧。

 香水を振りかけて他の婚約者候補の方々に牽制していたのです。


 こんな女の子では、テオ様も嫌がるでしょうに、当時の私には分からなかったのですね。


 誰も止めてはくれなかったですし……


 ……人のせいにしてはいけませんね。



 そんな時にお会いしたのが、今では大親友のリリアーヌ・ベルナー。

 


 リリィでした。



 私の嫌味やキツイ物言いにも何とも思わなかったのか、逆に私の肌の事を心配して対応策まで教えてくれたのです。


 何故か付き物が落ちたような気がしました。


 私は今まで何故こんなに背伸びをしていたのか、自然に美しく笑うリリィを見てとにかく恥ずかしくなったのを覚えています。


 それからはリリィの言う通りに化粧を止め、食生活の改善をしました。

 見る見るうちに肌が整っていき夜も眠れるようになりました。

 そして艶々モチモチになる化粧水までいただいてしまって。


 自然と自分に自信も戻ってきて、テオ様の為にももっと色々な部分で自分を磨こうと思うようになりました。


 今までの態度を家族、そしてデュポア家を支えて下さっている皆様に対し謝罪をしました。


 今ではあの頃の事は笑い話にできる程、皆様との関係も良い物になっております。



 そうするうちにリリィの契約獣の凄さや、契約精霊オベロン様の件……等、リリィといると信じられない事ばかりが起きていきました。


 羨んでも仕方がないのは分かっていますので、自分に出来る事をしっかりと行っていこうと、地に足を付けて必死に頑張って参りました。


 そして選定式、テオ様との婚約式もつつがなく終える事ができました。


 アールヴレズル魔法学園へ入学する頃には王宮での王妃教育も始まっており、忙しいですがとても充実した日々を過ごす事ができております。


 テオ様とも……とても良い関係を築けていると思います。


 美しい顔で微笑んでいただいたり、甘い言葉をいただいたり……。



 思い出すだけで頬が赤く染まります。



 このマルタン王国には第一王子のテオドール殿下と第二王子のヴィクトル殿下がいて、本人達は仲が良いです。

 が、勝手に第一王子派、第二王子派なんて勝手に派閥を作っている大人達がいるので面倒なんだよね……とテオ様は嘆いていました。

 

 そういった事柄等もお話しして頂ける程には信用を頂いていると思っております。



 それなりに年齢を重ねて頬にキスから唇にキスをしていただけるようになった中等部2学年になった花が満開のこの季節……


 

 思い出したのです。



 ブワーッと頭の中に物語のような自分の前世? 的な物を。

 そこには魔法は無く科学という物が発展していました。


 そして……この魔法世界に見覚えがありました。


 

 《光と闇のラグナロク〜終末の日は聖女によって救われる〜》

 というアプリの乙女ゲーム。



 自分自身の事は殆どもう覚えておりませんが、この世界のゲームをやっていた記憶だけはバッチリと残っているのです。



 ふと鏡を見て驚愕に震えました。

 

 

 寮の部屋で叫び声を上げなかったのは奇跡だと思います。


 私はゲーム内では所謂……悪役令嬢ポジションだという事。


 断罪イベントなる物があり、よくて追放もしくは幽閉、悪くて死……。



 震えが止まりませんでした。



 ゲームの中での私は傍若無人の我儘娘。

 人に対しての嫌がらせ、虐めなんて当たり前。

 気に入らない事があると侍女やメイドをクビにする。


 テオ様に対しても我儘に物を欲しがったり、束縛したり……。


 そんな私に嫌気がさしていたテオ様は…転入してくる聖女のヒロインに惹かれて……卒業パーティーで断罪するのです。


 別ルートでどのキャラを進めていても悪役令嬢として出てきてヒロインを虐め、結果断罪されるのです。



 ……………ん?


 えと……少しお待ち下さいませ。


 ゲームと現状の格差がすごいあるのですが……


 確かに昔のままの私だった場合はあり得る内容だとは思います。


 けれど今の私は逆にテオ様にもっと我儘を言ってくれていいのだよ?と言われるくらいです。


 そして確か……一番始めのイベントは幼少期の町での買い物。


 あの時……私はテオ様と共にいましたがヒロインらしき方とは遭遇しませんでした。


 それに、お食事の場所がお洒落なカフェだった筈がルーファス様の月の雫亭でのお食事に変わりました。



 …………。



 私とテオ様の関係もはっきり言ってラブラブでございます。


 テオ様が……少しお恥ずかしい話ですが私にぞっこんなのです。


 私が少しでも他の男性の話をしたり、挨拶を交わしただけでとても嫉妬するのです。


 ゲームとは……真逆?とまでは言いません。

 私もテオ様の事は愛していますから。


 でも、それくらいゲームのストーリーとはかけ離れているように思うのです。



 辺境伯の御子息レオ様も……リリィにぞっこんでございますし。


 ローラン様もイザベル様と仲睦まじく卒業後すぐに結婚されるというお話ですし……。


 マティアス様もメルと凄く愛し合われていて……。


 唯一関わりがないクレマン様は分かりませんが。



 そして……重大な事柄が一つあります。

 それはまたの機会にお話しさせて頂きたいと思います。



 とにかく、平和な現状をめちゃくちゃにしたくない。その為にも悪役令嬢なんていうポジションからは脱却……はすでにしているかもしれないですが……テオ様と共にこのマルタン王国を守っていきたいと思っております。



 ヒロインが来ても、大丈夫だという程に私とテオ様の絆は強く結ばれておりますから。



 明日から、そのヒロインがやってくる予定です。


 気を引き締めてその……ヒロインの動向を探りたいと思いますが、まず初めのヒロインとの出会い……その時点で既に出会えないのでは?と言った感じなのですよね。


 入学式というイベント……で、何故か私は馬車で学園に向かうらしいのですが、ご存知の通り私達は寮生活をしております。


 そして明日なのです。

 今夜既にこの寮にいる私がどうやって馬車に? そしてそれは何処から?


 謎は深まります……。


 その時に私はヒロインを押して転ばせるらしいのです。

 テオ様との出会いはそこなのです。


 私はそんな事をするつもりは微塵にもございませんが、ゲームの強制力という物がどれくらいあるのか……不安な部分は多いです。


 もしテオ様が……私を置いてヒロインの手を取ってしまったら……考えるだけで涙が溢れてきてしまいそうです。



 いけませんね。こんな弱くては。

 しっかりと前を向いて私らしくテオ様の手を離さないようにしたいと思います。



 もし、何かがあれば夢に見た事にして皆さんに注意してもらおうと思います。


 

 負けないですわよ!!












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