90.キュンキュンしてもいいんですか?
あの、ハプニングの日以降少しだけ私のレオに対する意識が変わったように思います。
ふと、あの背中に回った手の暖かさだとか首にキスされた時の柔らかさだとかレオの真剣なそれでいて熱っぽい瞳だとか……思い出しては顔がボンッと赤くなったり、一人でジタバタしたりしていたらロウ達には呆れられ、アディ達には心配され、レオ本人には涼しい顔で微笑まれ……色々胸中の変化が激しくて……。
とりあえず落ち着こうと師匠の所でアイテム作りに没頭しています。
『ちょっと……リリィ!!』
「───っふぁいっっ!!」
突然大声で名前を呼ばれて振り返ると師匠が腰に手を置いて呆れた顔をしています。
「──師匠、どうしたんですか?」
『どうしたもこうしたもないわよ……何?このピンク色の物体は……』
そう言われて手元を見ると毒消しと体力増幅の混合ポーションを作っていた筈なのに、ピンク色にキラキラ輝くナニかが鍋の中に満ち溢れていた。
「───なんでしょうか?コレは……」
『知らないわよ……鑑定は?使えるようになったの?』
「あ、はい。50%の確率で……」
『じゃあ見てみなさいよ……』
そう言われて鑑定をしてみる事にしました。
『ジャッジメント』
【桃色吐息】
・お互いに思い合う二人にしか反応しない。
・お互いに思い合う二人が使用するとピンクのハートが立ち昇る。
……えーと。
「師匠……なんか新しいナニが出来たようです」
『そうみたいね……これは賛否ありそうなモノね……』
「賛否……ですか?」
『そうよ……もし万が一どちらかが偽っていたら?殺人が起こるかもしれないわ……』
「確かに……て事はコレは封印ですかね」
『いいえ、そこは魔女として使うのよ……』
「成る程……きちんと誓約させると言う事ですね。相談に来た人だけ使うとか…」
師匠がニヤリと笑いました。
魔女の元には色々な人がやって来ます。
それこそレオの母親のようにこっそり属性鑑定を望む者や恋愛相談、人探し、物探し……様々な依頼が舞い込んで来るのです。
師匠は流石といいますか、私のこの新しい薬を上手く使おうと算段中のようです。
「でも師匠……同じ物は作れないかもしれないです……」
『分かってるわよ……アンタの未熟さはね……気持ちで左右されて出来上がる薬なんてただのオマケみたいなモノよ……』
さすが魔女様。辛辣なセリフをありがとうございます。
『それにしても……何なの?アンタにも遂に……春でも来たの?レオと……デキた?』
────っっ!!!
新たに鍋に放り込んで作っていた薬草と毒消しと体力増幅の混合ポーションにドバッと魔力が注がれたのが分かりました。
「──っ師匠!!……そんなデキ…たなんてそんな事ないです!!」
『あら……?アンタ達意外と奥手なのね……』
鍋の中にはピンク色の物体再び……。
鑑定すると……
【桃色吐息・改】
・思い合う二人が使うとより深い愛を感じることができる
・思い合う二人が使うとピンク色の霧が出て姿を隠せる
『……アンタなかなかのモノ作るわね……』
「えへへ……はぁ……」
『まあ……アンタ自身が今恋に浮かれてるって事ね……』
「ちょっ!!師匠!!」
『?……違ったかしら……?』
「……そう……なんですか?」
『───はぁ。レオもかわいそうに……』
「だ、だってですね!あんなに小さい頃から知ってる相手で……って、誰もレオだなんて!」
あははと師匠は笑って頭をポンポンしてきました。
『結構結構……大いに悩みなさい……魔女はね……恋をしたら変わるのよ……?』
「変わる……ですか?」
『そうよ……恋をして初めて一人前よ……じゃないと人の恋路にアドバイスなんてできないでしょう……?』
カッコいい!!そんな風に話す師匠は誰を思っているのか分からないですが、めちゃくちゃに綺麗でした。
『リリィ……その生まれてきている気持ち……大切に育てなさい……その人を思ってキュンキュンしなさい……』
「キュンキュン……してもいいんですかね」
私はうっかり忘れていたけど前の世界の記憶を20年分程持っている。この世界で生まれたけど……脳内年齢的に結構おばさん……なんだよね……
レオとの事なんて初めて会った時はイケメンで可愛らしい子!って思ってずっと自分はショタじゃないし……って言い聞かせてきた。
今までレオの好意に甘えるばかりで、私は何か返せているのだろうか……。
脳内年齢が……とか取っ払ってレオの事ちゃんと考えてみよう。
だって、私もキュキュンしてみたい。
『アンタも……一端の魔女気取りたいなら恋は必須よ……さっきの 【桃色吐息】も【桃色吐息・改】も自由に作れるようになるわよ……』
「───ん?師匠?それが目当てですか?」
『違うわよ……アンタオンリーのモノがあった方が魔女としてやっていきやすいわよ?』
「あ、確かにそうですよね。オンリーワンの方が……」
『魔女だからって……私みたいに森に居なきゃいけない事もないし……』
「え!?そうなんですか??」
『そうよ……?ただ楽だから私はココを拠点にしているだけだし……』
そうなんだ、イメージ的に森の中とかしかダメなのかと……あ、でも町に居る魔女もいるって言ってたよね。
『そうよ?魔女業務なんて……どこでもできるのよ……それこそ辺境でもね……』
───!!
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