84.独占欲ってやつですか?
転移魔法の練習をしてから数日、高等部の方で少しトラブルが発生しているそうです。
「───で、何が起きてるって?」
中等部の生徒会室でヴィータがリュドに確認を取っています。
そしてメル、レティ、私が一緒に話を聞いています。アディは王宮で公務のお手伝いがあるらしく今日は授業はお休みしています。
リュドが高等部から入って来た情報を皆に説明してくれます。
「被害等はないので大したことはないようですけど、図書館の禁止区域、持ち出し禁止スペースに何度も無許可で入ろうとする。外出許可無しに外へ出ようとする。魔法訓練スペースへの無断入場を繰り返そうとする。学食での不審な動き。学園内、寮内で無駄にうろつく不審な動き……全て1人の高等部の生徒が起こしている厳重注意事項らしいです……」
もしかして……あの時の高等部の編入生かな?
「──高等部に外部から編入したルグラン男爵家のご令嬢でエリーズ・ルグラン。この方は元々正式なルグラン男爵のお子さんだったそうですが、お母様と町で平民として暮していたそうですね。最近ご両親が復縁?されて男爵家に入ったそうです」
「成る程……では貴族としてのマナー等がまだ出来ていない……という事かな」
「ヴィータ、それでもその行動はおかしいわよ」
リュドの話に対してヴィータが意見するとレティが間髪入れずに意見しました。
確かに、編入生の動きは普通ではあまり考えられないような行動のように思います。
「何なのかな……何かを探してる?とか?」
メルも恐る恐る口を開きます。
「私達がここで何かを考えてもきっと答えは出ないと思うので、テオ殿下達と話を照らし合わせた方がいいかもしれませんね」
「──そうだなリュド、後でどこか……隣のサロンでいいか、集まれるか確認しておいてくれるか」
「畏まりました」
◇◇◇
放課後になって高等部のメンバーも中等部の生徒会サロンに集合しました。
アディも公務のお手伝いが終わり戻って来たので参加しています。
「高等部でもその都度厳重注意しているらしいのだけど……あまり堪えてないというか、その……普通女性が表立って注意されると恥ずかしいという気持ちがあるだろう?でも彼女はそれがないようで……平民は皆そうなのか?とも思ったが、特待生で来ている平民の生徒達に聞いた所、そんな訳ないと……あんなに注意されたら恥ずかしくてもう歩き回れないと……」
テオが高等部での情報を話してくれます。
「彼女が何か特別……なのでしょうか」
ヴィータが少し不安げな顔をしながら意見しました。
「今一番警戒しているのは、他国からのスパイじゃないかという事だね」
「ス、スパイ!?」
アディ以外の全員の声が合わさりました。
スパイってあれでしょ?
ダッダッダーダダッダッダーダーティラリーティラリーダダッ ってやつ。
「他国のスパイ……でもルグラン男爵ってめちゃくちゃ信用のあるいい人って聞いてるけど?」
レオがそう言うとテオが
「そうなんだけど、ルグラン男爵は他国にも仕事で色々行っている方でもあるから少し注意というか、行動に制限をつけるかもしれないという話になっているんだ」
「それって仕事に影響しそうだね……」
「まあ、影響の無い程度にはするらしいけどね、影も付けるらしいし」
「その辺りはオレ達には触れない部分だからな、そのルグラン男爵令嬢が色々な所で何をしているのか……だな」
レオとテオが話をしているのを皆が真剣に聞いていましたが、アディだけは何故か青い顔をしています。
「アディ?どうしたの?また具合悪い?」
「──ぁ、リリィ……何でも無いわ」
「アディ?」
「あ、テオ様……」
アディに話しかけていたらテオが心配そうにアディの元にやって来て隣に座ると手を握って落ち着かせるように話しかけています。
「最近少し元気ないみたいだけど、どうしたの?心配事があるなら言って?」
「───テオ様……」
「うん?どうした?」
「──── 」
どうしたのかな?
「───テオ、オレ達ちょっと席を外すよ」
レオがそう言うと、皆も席を立ち部屋を出ました。
アディが心配だったけどテオにお任せしちゃった方がいいよね。
「とりあえず今日は解散かな。で、また集まろう」
ヴィータ達は生徒会室の方へ戻りローラン様とマティ様は申請を出して魔法訓練スペースに行くらしいです。
「──レオは今からどうするの?」
「ん?うーん。どうしようかな。時間が出来ちゃったから。リリィは?」
「え?私は……えと……」
「時間あるならサロンにお茶しに行こうか?」
「……2人きりでもいいの?」
「うーん、オレとしては2人きりがいいけどね、でも仕方ないからロウ様達に出て来てもらおうか」
あ、そうかロウ達が居れば2人きりって言う風にはならないもんね。
「じゃあサロンに着いたら呼ぶわ」
「うん、では行こうか」
本当にサラッと手を取ってくるのよね……
また嫌じゃないのよ……どっちかって言ったら嬉しい??
───!!
ナシ!!ナシッ!!今の無しよ!!
レオとサロンへ向かっている途中で図書館の方へ向かうピンク頭のエリーズ・ルグラン男爵令嬢を見掛けました。
「──レオ、あの方よね?エリーズ・ルグラン男爵令嬢って」
「ん?あぁそうだね。今日も急いで何処に向かっているのか……」
「会った事ある?話した事とか……」
「クラスも違うからね……接点もないし。でも何で?」
「えっと……何となーくなんだけどね……レオにはあの人と関わって欲しくないなぁっていう感じがね……するなぁ…なんてね……えへへ」
何でだろう。本当に何となくそんな風に思っちゃった。師匠があの人はトラブルメーカーかもって言ってたからかな……。
でも関わって欲しくないなんて、勝手な事……
「うん。リリィが嫌だと言うなら絶対に関わらないようにするよ」
「──っで、でも!ごめん、そんな分からないもんね。これからどうなるかも分からないのに……勝手な事言ってごめん…」
本当、学生生活の中で人に関わるななんて……酷いこと言ってるわ。
「リリィ?オレはちょっと嬉しかったけど?」
「え?」
「だって、心配してくれたんでしょう?心配しなくてもオレは初めて会った時からリリィだけだよ」
え!?っとあれ?そういう意味で心配したのかな?あれ?なんかのトラブルに巻き込まれるの……あれ?でも、確かに……あの人と一緒にいて欲しくない……って事は……
───!!
…………え?独占欲的なモノ??
えと……あれ?
「アレ?違った?ハハ、だったら残念だな」
「え!?違っ!!」
「ん?」
レオッ!!そんなに優しい目で見つめないでーー!!
「はいどうぞ、入って」
頭パニックになってたらサロンに着いてた……。
サロン専属執事にお茶の準備をしてもらっている間に、ロウを呼びます。
「ロウ?あれ?何か疲れてる?」
『──母にな、何だかんだとこき使われている』
「え?師匠に?ふふふ……いいじゃない親孝行できて」
『……まぁな。レオ、お前はまだ試練クリア出来ていないのか?』
「───っぐ……お恥ずかしながら……何かを成すとは難しいです」
『クク……まあ頑張れよ』
ちょっ!また試練?
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