77.乙女ゲームとやらが始まりますか?
卒業パーティーのキャンプファイヤーもとても盛り上がりきちんと後片付けまで終わらせる事ができて、大成功だったのではないでしょうか。
レオ達卒業生からは本当にこんなに楽しいイベントを開催してくれてありがとう!と心からのお礼をいただきました。
最終的に今回全ての案を出したのは私というのをヴィータが発表してしまい皆から尊敬の眼差しで見られてしまったり、その場が大騒ぎになって大変な事になりそうだったのをレオが庇ってくれたりと……ハプニングも起きてしまいました。
私的にはそんなつもりはなかったんだけど……前の世界の記憶から頂戴してきた案なので心苦しいばかりです。
───そんな卒業パーティーも無事?終わり、春休暇も終わって新しい年度が始まります!
私達は中等部2年に。
レオ達は高等部へ入学です。
高等部の入学式はまあはっきり言って皆がそのまま持ち上がりなのでメンツも変わらないから、ただ普通に新学期を迎えるような感覚だとレオ達は言っていました。
寮も一緒だから余計にだよね……。
ただ、珍しい事にレオ達の学年に外部から編入して来る方が居るそうです。
その方は平民として育ったようですが本当は男爵家のお子さんだったようで、魔力量も多く聖獣と契約されている事もあり今回試験を受けて入学されるそうです。
編入試験って難しいのでは?とお兄様に聞いたら「試験自体は簡単だよ。実技に重きを置いている学園だからね」だって。
確かにここって魔法学園だもんね……。
編入して来るのはどんな人なんだろう?って気にもなるけど、そもそも学年が違うので会う事もないでしょう。
まぁ寮で会う事はあるかも?だけどね。
今日は休みだし最近中等部の棟の裏庭に作らせて貰った薬草園の様子を見に出てきた所なんだけど、あとでレオ達と入学式が終わったら会う約束をしているから、それまでの間にと思ってね、そしたらね……
出会っちゃいましたね……。
……多分この方、編入生。
さっき外門の方から歩いて来たし学園見取り図を片手にキョロキョロしてるし……。
──分かるよ!この学園広すぎるもんね!
私も何度迷いそうになった事か……その度に皆に助けられたのよ。
なので当時の私と同じような状態のこの方を放っておく事ができません!!
驚かせないように注意しながら声を掛けてみたいと思います!
ゴクリ……
「あの……何かお困りですか?」
そしたらその方はビックリしちゃったのか驚いて尻餅をついちゃいました。
こっちもビックリして固まっちゃったけど、すぐに手を差し出して起こしてあげました。
あ、スカートと手が汚れてしまっています。
えーと、ハンカチでいいかな?ハンカチを手渡してスカートの汚れを払ってあげました。
「驚かせてしまったようで、申し訳ございません」
固まったままのその方はピンク頭に薄ピンクの瞳の可愛らしい方です。
ギュッとハンカチを握り締めています。
オーラはパール。光属性さんなのかな?
あ、精霊も肩に乗ってるね、光属性決定だ。
レオの光の精霊セリカと似た色してるもん。
ニコリと笑って変な人じゃないよアピールをしながら、もう一度話しかけます。
「高等部の入学式のホールへ行かれますか?」
「──っあ、は、はいっ!!」
やっぱりね、と思いながら分かりやすさを心がけて説明をします。
「ホールへは、ここを真っ直ぐに行くと先の突き当たりを左に向かうとございます。もうすぐ始まる時間ですので、お急ぎになった方がよろしいかと……」
「──あっ!そうだ時間!!っあ、ありがとうございます!では!」
貴族の娘らしからぬ早口で(普段の自分は人の事いえないけどね)走り去って行く後ろ姿を眺めて、何となく親近感?が湧いてしまったのは内緒です。
「──ふむ。可愛らしい人だなぁ」
『アレはアンタ以上のトラブルメーカーかもしれないわよ……?』
「───!ビックリした!!師匠!驚かせないで下さいよ!」
『本当に…はあ……この学園の警備はザルすぎるわ……』
師匠は最近カラス姿で学園にやって来る事が増えました。
卒業パーティーのビンゴ大会とかキャンプファイヤーとかが殊の外お気に召したようで、私に魔法を教えに来るついでに楽しい事を探しに来られています。
最近は逆なんじゃ?って思う事もしばしば……。
「トラブルメーカーって?何故そう思うのですか?」
『そうね……そういう雰囲気がプンプン匂っているわ……気を付けさせた方がいいかもね……』
魔女ってそんな事までも分かってしまう物なのですね!
師匠に色々教えてもらっている時に……魔女になるにはどうしたらいいのか聞いてみた事があります。
『とにかく色々なモノを作る事と人の倍以上魔法の勉強をしなさい』と言われたのよね。
それ以来、時間があれば魔法訓練ブースを借りて魔法の練習をしています。
私の魔法は大味過ぎると、師匠からいつも言われているのでもっと繊細に魔法を操れるようにならないとダメだそうです。
繊細……私からはかなりかけ離れた存在のような気が……。
「お守りとしてレオ達には前回作ったリングを試しに嵌めてもらっていますが……」
『ああ、アレ?なら平気か……』
前回作ったリングとは小さい魔石とセルの鱗を混ぜ合わせて錬金した頑丈な物です。
それに光の加護で状態異常の回避を付与した初めてチャレンジしたアイテムです。
初めての錬金と付与をしたので、実際にはお守りとしてどこまでの効果があるか分からない為、レオ達に実験台になってもらっているのです。
師匠曰く、その辺に売っている物よりかは遥かに凄いそうです。
何せ、セルの鱗は極上のアイテムですからね!
なので錬金して作った指輪だけでも守備が格段に跳ね上がる代物らしく、これはまだ売りに出したりはしてはいけないと師匠に口酸っぱく言われています。
市場が崩壊しかねないから……と言われてまで売ろうとは思いません。
だからセバスにもこれは売らないと話しています。
セバスにも同じようなリングを渡したのですが、涙を流してお礼を言われてしまいました。
ニナにも渡したら同じような反応でした……。
お父様、お母様は立派になって……と嬉しそうに受け取って下さいました。
お父様は王様と王妃様にも渡したい!って言い張るので、もう少しマシな物が出来たらね!っと引き留めています。
流石にね……王様達に渡せるような代物ではないので、ね……。
実は私、お父様達に魔女修行する!と宣言をしたのです。
その時は反対されましたよ。
自分のやりたい事、出来る事、出来ない事をプレゼンして学生の間に学べるだけ学びたい!と強くアピールした結果、大人達だけの会議が開かれました。
そして師匠の所だったら……とOKを貰えたのです!
その時にいずれ渡すつもりだったんだよ、とロウの毛とセルの鱗、ネスルの羽を受け取りました。
もう、私も勉強しましたからね、幼少の頃は彼らの毛や鱗をただのゴミ扱いしていた自分をビンタしたい気分です。
お父様はセバスとニナにきちんと集めておいて、と指示してくれていたのですって。
本当にこの超レアアイテムを山程受け取ったのでありがたい限りでした。
魔女修行の一環でアイテムバッグ作りもしています。
現在はカバンとして作れるのは一部屋分程度収納できる物で、師匠的には十分だと思うとお墨付きを頂いておりますが、あまりに効果の高い物を作ってもやはり売りには出せないので身内にまずは使ってもらっています。
自分用のアイテムバッグは感覚的にドーム一個分くらいかな?
そこにロウとセル、ネスルのアイテムを薬草や魔石等も一緒に放り込んであります。
アイテムバッグ、とっても使い勝手の良いアイテムです。
これさえあればキャンプ道具とかなんでも放り込んでおけるので旅行したりするのも荷物無しで楽チン!!
でも、やっぱり高価な物だし使うのに魔力が必要なので一部の人用になっちゃってるんだって。
こういうのをもっと一般的にもしていきたいんだよね。
なので、安価にできるか等も考えながら今はとにかく、作って作って!!という日々です。
あ、話がズレちゃった。
とにかくリングのお守りがもしかしたら活躍しちゃうかも?ですかね??
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