表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/117

7.皆さん強いですが最強は誰ですか?


 その後お茶会はそれぞれの思惑を胸に秘め表面上は何事もなく和やかに終了した。


私とアディはまた今度お茶会という名の美容研究会を開く事を約束してガッチリと抱擁して別れた。


レオは…というとあの後我が家にガルシア家から正式に婚約の打診があったらしいけど、案の定お父様の


「まだ早い!何か誇れる物が1つでもできてからもう一度挑戦しに来い」


の一言でお流れになった。



そして…何故か今日は王子達がベルナー家へ遊びに来るらしい。

昨日の今日だよ?

皆ヒマなのかな?

よくよく話を聞くと、王妃様とお母様は学生時代からの親友らしくて昨日久しぶりに会えたけどほとんど話せなかったから…と話したい欲求が爆発したらしい。

まあ、わかるよ?

恋話とか愚痴とか話しても話足りなくなるよね?



で、何でか私は今第二王子のヴィクトル殿下と2人で庭にいます。

お母様達はテラスで女子会、お兄様とテオはセバスとトマスに剣術の稽古をつけてもらっている。

3歳のヴィクトル殿下は稽古には参加できず、仕方ないので私が相手を…


でもこの王子様、さっきから何も話さないんだよね…。

前世の美容師営業スキルを振りかざして話を何とか振ってるのに、「あぁ」とか頷くとか返事しかしねえ!



はぁ…表面上は和かに。

心の中ではため息の嵐です。

本当勘弁してください!



「ヴィクトルでんかは…」

「ヴィータ」


ん?何か言ったね?この王子。


「ヴィクトル…」

「ヴィータ」


あ?あぁ、ヴィータって呼べって事なのかな?


「ヴィータは」


あ、口元が少し上がったかな?

OKって事ね。


「わたくしのことはリリィとよんでくださいね」


「………リリィ」


声、ちっさ!!


「なんでしょう?」


「……………」


からの沈黙かよー!

しんどいなあ。

お母様ー助けてー!!お兄様ー!

あ、そうだ。

お兄様達の稽古見るだけならいいんじゃない?

そうよ!見るだけなら大丈夫でしょ!



「ヴィータ、おにいさまたちのおけいこみにいきませんか?」


うん、と頷いた?よね?

よし、じゃあ行きましょう、すぐ行きましょう!

そうと決まればお母様に報告っと。



「おかあさま!ヴィータとおにいさまたちのおけいこみにいってきますわ」


「邪魔をしてはだめよ?気を付けてね」


「はぁい!ヴィータいこう!」


あ、タメ口になっちゃった。

まいっか、何にも言わないって事は肯定って事で!

ヴィータの手を取ってお兄様達の所にダッシュ!!





「…リリィは元気ね。ヴィータがあんなに嬉しそうにしてるのも珍しいわ」


「…本当にお転婆娘で大変なのよ。でもあの容姿でしょう?昨日もね辺境伯のガルシア家を筆頭に沢山のお家から婚約のお話を頂いたのだけれど…」


「あら、素敵!」

「でもね、ミシェルが即お断りしてしまったのよ」


「いいお話なのにね、ガルシア家なんて名門ですし問題無いのではなくて?…辺境伯へ嫁ぐ事を考えたら寂しいから…かしら?」


「そうかもしれないわ。でも、リリィはあんな感じでしょう?早いうちに決めておきたい気もするのよね…」


「そうね。本当は王家(ウチ)に嫁いで欲しいくらいなのよ?テオにでもヴィータにでも。だけどね、近すぎるものね」


「ふふ。そうね。でもリリィが王家に嫁いだら大変な事になりそうよ?」


「そうかしら?テオはともかく、ヴィータはリリィの事気に入ってそうなのよね…」



ウフフアハハ…と母達の楽しげな笑い声が響いていた。





◇◇◇



ヴィータの手を引いて裏庭の皆がいる所まで走る。

あ、いたいた。


「おにいさまー!」



あ、セバスとトマスが剣で勝負してる!

この2人がやり合ってるのをよく見るけど、本気っぽくて怖いんだよね…

トマスは琥珀色のエフェクトを大きく背負っていてセバスは…分からない。


分からないようにするのもスゴイ綿密な魔力の操作が必要らしくて、大抵の人はダダ漏れ状態。


まあ私みたいに人のエフェクト、うーん、オーラ?うん、オーラの方が分かりやすいかな?で見える事は稀らしいから、ダダ漏れでも問題はないってお父様は言ってたな。



テオはお兄様と同じで2種類、ガーネットと翡翠の深い赤色と深緑のオーラがフワフワ混じり合ってる。


ちなみにヴィータのオーラはシトリン、黄金色のオーラ。

まだ魔法の使える年じゃないけどオーラはフワフワしてる。



…そういえば、昨日のお茶会では皆さんオーラ振り撒きまくりだったけど、レオのオーラは見えなかった…?

見えてたけど見てなかった?って事はないか。


ちなみに自分のは見えません。

残念だな…



あ、勝負有り。

今日もセバスの勝利でした。



「セバス!次は俺と勝負だ!」


テオが果敢にセバスに挑戦しに行った。

がんばれー!



「リリィ!こんな所まで走ってきたの?ヴィクトル殿下がフラフラだよ!」


え?あら、本当だわ…

ゼハゼハ言ってる。

顔真っ赤だし。

こんな距離をあれくらいの速度で走ったくらいでこんな風になる?



「…ヴィータ、うんどうぶそくなんじゃない?もうすこしきたえないと、おんなのこにもまけちゃうわよ?」


「ーー!!」



「ま、いっか!テオ!がんばれー!セバスもまけるなー!」  


いいなぁ。

私もちょっと剣技みたいなのやってみたいんだよね。

でも、女の子だからダメだって…。

魔法もまだ使えないし。

走り回るくらいしかできないジレンマよ!!



ちょいちょいっとあしらわれてセバスの勝ち。

でもテオはテオでよくがんばったと思う。



「ねえセバス、おにいさまとテオはどっちがつよいの?」


「さて、どうでしょうかね?お二人とも年齢にしてはお強いと思いますよ。剣技も魔法も素晴らしいです」



2人共満更でもないドヤ顔決めてる。

ヴィータは、というとまだゼハゼハ言ってる。



「…さいきょうはだれなんだろう」


単純にふと思った事が口に出てたみたいだけど、誰も聞いてないから、まあいいか。



男の子はいいな。

剣技や狩り、色々やれて。

女の子は刺繍とか読書とかって…

チマチマした作業も嫌いじゃないけど、前の世界でやった事のない事をやりたいんだよね。

でも、今度馬には乗らせてもらえるっぽい!

やったね!



さっきお母様達が話してたけど、今度お兄様達は狩りに行くって言ってた。

私は付いて行ってもいいけど狩りには参加できないんだって。


花摘みとかボートに乗ったりとかだけ。

つまらん!

ついて行くだけムダとも思うけど、ついていかないのも嫌。

なんとか楽しそうな事を探してやるぞ!と思ってるんだ。


ちなみに一緒に行くのは家とテオとヴィータ。

王様は来たがってたけど忙しくて無理なんだって。

残念だね。



家からはお父様もセバスもトマスも行くから警護は万全なんだって。

そこらの国よりも強いらしいから安心だって王妃様が言ってた。

…それってすごくない?

最強じゃん。

お父様は勿論だけど、セバスとトマスのポテンシャルが半端ないって話でしょ?


そこにお兄様とかテオとかが今後加わっていくと思うと…恐ろしいわ。



「でもきっと最強はリリィ様な気がしますよ?」



ニンマリ笑ったセバスの呟きは、色々脳内で話してた私には聞こえなかったのだった。




…余談だが


この日以降ヴィクトル殿下は雨の日も、雪の日も毎朝欠かさず王宮の庭を走るようになったそうだ。



読んでいただきありがとうございます!

☆評価いただけると励みになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ