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5.運命の出会いは必然ってやつですか?

 

 あの女の子を探してウロウロとお庭を歩いています。

3歳の身長の低さって本当に遠くを見渡せないし人に紛れちゃうと全く何も見えなくなる。

人探しには向かないわ。

仕方ないけどね。


サクサク歩いていると薔薇のアーチがあって、それを潜ると迷路みたいになっていた。


入ってもいいのかな?

まぁ、立入禁止とか書いてなかってし大丈夫でしょ。って事でゴー!



お花は綺麗に咲いていて、さっきまでの人工的な匂いと違って自然の良い匂いが鼻をくすぐる。

サクサク進んで歩いていると小さな噴水と椅子とテーブルが置いてある少し開けた場所に出た。



「すてきなばしょ!いいてんきだしこのままここにいるのもありかな…」



うーんと伸びをして思い切り深呼吸。

噴水の側で腰を下ろし水を触ってみたら、冷たくて気持ちが良かった。

さっきまでの気分の悪さが抜けて行くような感じ。

パシャパシャと手を水の中に入れて遊んでいると、ガサッと後ろの茂みが揺れて誰かが出てきていきなり怒鳴られた。



「ーーっ!!誰!?ってリリィか…」  



頭に葉っぱを付けて歩いてきたのは第一王子のテオドール殿下だった。

少なからず驚いた私は声がすぐ出せず、水の中に手を入れたまま固まってしまった。



「?リリィだったよね?」


「あ、そうです。すみませんこんなかっこで」



バシャッと水から手を出したらドレスに水が沢山かかってしまった。



「あっ!ッ」



瞬時にお母様の鬼の行相が頭に浮かんで顔が青ざめる。

ドレスの裾の濡れている場所を摘んで唖然としていると


「ぬれてしまった?乾かしてあげる。風よ」


テオドール殿下が指をクルリと回して呟くと緑色の光がチカチカし足元を風が通り抜けて行った。

魔法だ。


「ーーすごい!かわいた!」


濡れたドレスの裾が乾いてフワフワと風に揺れている。


「テオドールでんか、ありがとうございます」


「いや、ボクがおどろかしてしまったから」


フフッとはにかむ顔は可愛らしかった。

フム、優しいし将来超絶イケメンになりそうな予感がします!



「テオドールでんかはなんでここに?」


「名前呼びにくいだろ?テオでいいよ」


いいのかな?ま、いっか。


「テオはなんでここにいるの?おちゃかいのしゅやくでしょ?」


「あー、匂いが…。コホン。リリィは?こんな所で1人でいたらクリスが心配するよ?」


匂い…あぁ。

そうね。確かに凄かったもんね。


「おとなになれば、へいきになりますよ。あたま、さげてください」


「え?こう?」


テオの頭に付いた葉っぱを取り除きながら言葉を掛ける。



「はい。あのにおいは、なれればおんなのこたちにかこまれてもへいきに…」



小学校の頃の授業参観の日とか、教室内に匂いが充満してマジで苦しかったけど、大人になったらあんまり気にならなくなるし。

あ、でも女性専用車両の満員電車は地獄だったな…と思ったら微妙かも?


「ハハ…そうだねいずれ慣れるとは思うけどね…」


テオと話をしていたらガサッとまた足音が聞こえた。



「…どなたかいらっしゃる?」



あ!あの可愛い女の子だ!

よほど心細かったのか恐る恐るといった表情でやって来た。



「アデライト嬢?どうしてここへ?」


「テオさま!おすがたがみえたので…」



テオを追って1人で来たのか。

なんて根性のある子なんだ!

ポッと頬を染めて話すアデライト嬢はめちゃくちゃ可愛いし。



「あ…リリアーヌ…さまも…」


急に表情が曇って、キッと見られた。

あ、お邪魔虫…かな?

ゴメンね、でも先に居たのは私なんですが…



「アデライト嬢、こんな所まで1人で来てはダメだよ?」


「ーー!でもリリアーヌさまだって」


「それはそうだけど、皆が心配するよ?」


ドレスをギュッと握ってワナワナと震えるアデライト様はチョット怖かった。

うーん、3歳なのにこんなに香水振りまいて…よく見たら白粉?も頬紅も?目元も…えー?アイライン?入れてる?


この世界恐ろしい!

3歳児に化粧なんて!

奥様は色白美人さんで優しそうだったんだけど…本人の意思なのかな…?



「テオドールでんかがもどるならもどります!」


「わかったわかった。戻るよ。一緒に行こう」


テオは溜息混じりにアデライト嬢をエスコート。

私を振り返って、ごめんねと口をぱくぱくした。



「…あらしのような子だわ」


「あの年でけっこうなわがまま放題らしいよ?」


「わっ!!びっくりした!!」


隣にいきなり立っていたのはさっき助けてくれた辺境伯の子息のレオポルトだった。



「あ、ごめんね。おどろかせた?」


「…おどろきました」


何でこんな所にいきなりいるの?

さっきまで居なかったじゃん!



「テオを追ってたらアデライト嬢も付いて行ったからね、どうなるかと思ってたらリリアーヌ嬢もここにいたってわけ」


「おにいさまは?」


「あー…ね?」


あ!コレは押し付けて来たな!

ジトーと見るけど、さっき助けてもらった恩がある。ちゃんとお礼言っておかないと、嫌な奴になっちゃうわ。



「さきほどはありがとうございました」


「ん?あぁ、あんな風に囲まれてたらおいしいお菓子もろくに食べれないしね」



ウィンクバッチーンとされ、赤面した。

赤面したのはウィンクのせいじゃないよ!お菓子頬張って食べてたのを見られたからよ!



「…ハハ。どうも」


…なんか、視線感じるなぁ。

見られてる?

横を向いたらバッチリ目が合いました。



「…なにか?」


「リリアーヌ嬢は3才だっけ?」


ちょっとドキッ!


「リリィでよろしくてよ。…」

  

「リリィ。オレはレオポルト、レオでいいよ」


「…レオ様、わたくしは3さいですがなにか?」



ちょっと訝しげな目で見ちゃうのは仕方ないと思うの。



「呼び捨てでいいよ?…3才にしては妙に大人っぽい仕草をするなぁと思って」


「え?」


「さっき、テオのかみの毛についた葉っぱを取った時とか。あ、でもお菓子を食べてる時は3才の顔だったけどね」


「ーー!からかってるのですか?」


カッと頬が熱くなった。

揶揄われてる!絶対に揶揄われてる!

お菓子頬張って食べてたのバカにされてるんだ!



「ごめんごめん!ちがうよ!素直においしそうにおかしを食べてた。そんなリリィがかわいいなと思って見てたんだ」


「ーー!やっぱりからかってる!!」 


レオの胸をポカポカ叩いてやった。

フンだ。

痛がればいい!



「アハハッ。からかってないって!かわいい」



レオは胸を叩いていた私の腕を取って、そのままスッと片膝を着いてジッと見上げてくる。



「オレは辺境伯フィリップ・ガルシアの息子レオポルト・ガルシアだ。リリィ、君を一目見て好きになった。オレと婚約してほしい」



え?え!?っえーーーーーーっっ!!!


なっ、何?え?私3歳だよ!?

この子大丈夫?


「えーと?」


「レオッ!リリィッ!」


ガサッとまた音がして振り向くとそこにはお兄様。



「おにいさま!」


助けてー!どうしたらいいのかわかんない!



「レオ、君って奴は人に押し付けといてリリィをくどきに行くなんて!」


「だって、一目惚れだったんだ。しかたないじゃん。他の男にかっさらわれる前に取りに行くってのが男ってもんだろ」


「そうかもしれないけど…はぁ…」



お兄様!溜息吐くのは後にしてこの状況を何とかして下さい!


それに、取りに行くって私は物じゃありません!




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