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45/117

45.誰が来ても仲良くするんでしたよね?

 

 ビカビカッと少し下品な色(夜の町のネオンみたい)に光って光って周りが眩しすぎて見えなかったのが少し落ち着き、周りの騒めきも少し落ち着きを取り戻した。


 が、そこにいる人物の姿が見えると再度騒めいた。

 

『やあ!リリィ!待たせたね!!』

「あーえと。こんにちは。何か用でしたか?」

『いや…あの…ね、我が…』

「あれ?どうしました?」

『あの…リリィさん』

「………?」

『くすん…。』

「あの…えーとすみません。今大事な時なので…お帰り頂いてもよろしいですか?」


「リ、リリアーヌ殿、こちら…は、あの…」

「あ、司祭様…こちらオロベンさんです。あれ?オンベロさん?だっけ?」


『あの、オベロンです…』


ザワッと一際大きく周囲が騒めいた。


『えと…あの…、皆に訂正もできたし…』

「あ、訂正できたのですね!ありがとう!!あ、間違えて来ちゃったんですよね?そうだよね?あー、びっくりしちゃった!やだもう!じゃあ、もう一度」


「あ、リリアーヌ殿。選定具は一人一度までと決まっていて…」


「ーーーえっ!?……じゃ、じゃあ、あの…私にはもう精霊が来て…くれない……?え?……嘘だずっと楽しみにしてたのに……?」


「リリィ、落ち着きなさい」

「だって、お父様!この方間違えて出て来てしまったのよ!それなのに、私の精霊…もう来れなく…」

『あの…すまん…』


『『『オベロン様………なんて不憫なお方だ…』』』



 ……少し落ち着こう。


 この目の前の綺麗な顔をした美男子?は、精霊王のオベロン?様だったよね。

前に会った時は怒りに任せて結構失礼な事ばかり言ってしまったのよね…。

助けて貰ったのに、あの態度は無かったかな…って後から反省したんだけど……


 ーーー!!

 

 精霊王なのに、間違えて?選定式に出てきちゃった…?そんな訳ないじゃない。

え……もしかしてワザと?え…あの時の復讐?……。

選定具は一人一回しか使えないって事は…


 ………嘘。


 私……精霊の加護が…貰えなかった……って事?

えと……え?嘘でしょ?誰か嘘だと言って!!

本気で泣きそうなんだけど……泣いてもいいですか?



「リリィ、落ち着いて?オベロン様のお話を聞かせて頂こう?」

「お父様ぁ……」


 鼻水がたりっと垂れたのは仕方ないと思うの。


『リリィ、落ち着いて聞いてくれるかな?』

「……なんですか?グスッ」


『あの…非常に言いにくいというか…何と言うか…』


 

 あぁ…グッバイ私の憧れ、精霊とキャッキャウフフライフ……でも!大丈夫よ!精霊の加護は貰えなかったかもしれないけど、私にはロウとセルというオモシロ家族がいるじゃない!!

うん、泣かないわっ!!

私、立ち直りは早い方だって昔から言われてるのよ!だっていつまでもクヨクヨしてたって、時間は同じように流れていくのだから!!


 楽しくしてる方が幸せじゃない…?

でも……グッバイ……マイ精霊………



『だから、リリィ話を聞いてくれ』

「あ、ごめんなさい。どうぞ……」


『えーとだな。コホン。今回、リリィの契約精霊の……』

「ストップーーーー!!!はぁはぁ…ちょ、ちょっと心の準備をさせて下さい…」


 

 契約精霊は居ない…って伝えられるのよ…こんな皆の前で……。

でも、他の人が居ないのはセーフだったんじゃない?そうよ!恥をかくのは王宮関係者の前でだけ。

それは不幸中の幸いってやつなのよ。


 でも…お父様ごめんなさい…。

4属性持ちのお父様からミソッカスみたいな子が出てきてしまって……。

でも!お兄様も2属性だし、闇の属性のリュドだっている。

だから!ベルナー家は大丈夫。



『あの…非常に言いにくいのだが……』

「はっはい!!」


『我が…契約精霊として…あの…宜しくお願いしたいのだが……』

「ーーーーーー」


『あの…リリィ?』

「………………。」


『リリィさん?』

「………………。」


『えーと?』

「????」


 周りは皆大騒ぎになっている。


「えと… え?……なんで?」

『なんで…と言われても……なりたいから?』


 

 中学生の告白タイムかよ!二人でモジモジしちゃって。

えーと…?この人って、精霊の王様だよね?

え?そんな人が小娘一人に付いちゃっていいの?……だめじゃね?普通はダメでしょう…。

そこの所はっきりさせておかないと…。



「あ、あの…ですね?」

『うむ。何かな?』

「えーと、精霊の王様なのですよね?」

『いかにも』

「そんな方が一人の人間に付くっていうのは精霊界的に…どうなのですか?許されるモノなの?」

『……我がリリィを補助したい。それだけではダメか?』

「…ダメだと思いますが……」

『え?ダメなの?』

「え?わからないですけど…普通はダメでしょ?」


『え?そうなの?』

「え?」


 どうしたらいいの?このカオス……。



『リリィ、大丈夫か?』

「ロウっ…」


『やっぱりな…おかしな事になると思ったんだよ…』

「セルゥ…」


 

 周りはフェンリルとヨルムンガンドの急な登場に驚きを隠せていない。



 やっぱりって?


「どうしたらいいの?こんな……」


『まあ、精霊王本人がリリィの契約精霊になりたいって言ってるからいいんじゃないの?』


「……。」


『リリィはどうなんだ?コイツ断っても本来なら別の精霊が来てくれる事もあるが…コイツの後だと…まぁ…皆嫌がるだろうな…』


「……。」


『リリィ?』


「……全然嫌とかじゃないの。王様が…なんて、すごい光栄な事だし、皆が良いと言うなら…とは思うの……ただ…」


『ただ…何だ?』


「ーーーっっ」

『リリィ?何でも言っておくれ…』


「…あの、非常に言いにくい…のですが……』

『うむ?』


「ーーーだって!精霊王様、大きいじゃないですかっっ!!」


『『『……え?』』』


「……皆の精霊達は小さくて!可愛くて!キレイだったり、カッコ良かったり!でも小さくて!!精霊王様は…人と同じ…ううん、より大きい部類に入るじゃないですかっ!!でも!皆の精霊は…小さくて可愛い……」


 

『えーと、精霊王が嫌な訳じゃなくて…』


『えーと、小さい精霊が良かった…って事か?』


「そうよ!!ずっとずーーーっと思いを馳せていたのは小さくて可愛い精霊達!!うちにはもうデカいのが二人も居るんだもの…」


『我が嫌だ…という訳ではないのだな?』


「ええ。さっきも言ったけどそれはありがたいの!だけど……私…小さい精霊と遊びたかったんです……」


『はぁーーーーーっ……』


 あら盛大な溜息です事。


『ならば、我と契約を…』

「あの…だから…話聞いてました?」


『ああ、問題ない。小さくなればいいのだな?』

「え?」


 精霊王は指をパチンと鳴らした。

フワッとキラキラした光が広がったかと思ったら、目の前に他の精霊と同じサイズのイケメン精霊王ミニが現れた。


「おぉ!手の平サイズ!!」

『コレで良いか?』


「いや、こちらこそ本当にいいのですか?」

『ああ。リリィ、こちらこそよろしく』


「リリィ、誰が来ても仲良くすると言っていたじゃないですか?」


「リュド…。そうよね!うん!こちらこそよろしくお願いします!精霊王様」

『オベロンと呼んでくれ』


「オベロン…様…色々失礼な事ばかり言ってごめんなさい。これから仲良くして下さいね!!」

『呼び捨てで!』


「ふふ。オベロン」

『ヨシ、リリィ!契約完了だ!!』



 前代未聞の選定式は無事(?)終了!!



 この日のマルタン王国の天気は


晴れ→曇り→大雨→ヒョウ→霙→地震→竜巻→雷落ちまくり→曇り→晴れ→晴天に虹、最終的には花が降ってきた。







読んで頂きありがとうございます!

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