44.誰が来ても仲良くしてくれますか?
さあ!さあ!皆様!!
遂に、遂にやって参りました!!
この日を5年!5年待ち続けてきたのです!っても厳密には2年かな?
本日!待ちに待った選定式の日です!!
はぁ、緊張するーーー。
後ろでニナも何故か緊張してる?
「ニナなんであなたがそんなに緊張してるのよ?」
「そりゃあしますよ!我が女神リリィ様の選定式ですよ!?」
王宮に行く為の準備をしながら、ニナといつも通りの会話をする。
今日は小花の刺繍されたシンプルなワンピース。
胸にはリンリンさんが作ってくれた、あの加護付きの花を使ったブローチ。
これ、貰ったのは4歳の誕生日の時だったんだけど、リンリンさんすごーく窶れちゃって…。
ムキムキマッチョボディがスッキリ細マッチョになっちゃったんだよね…。
リンリンさん結構イケメンでした…。
本人はモテるようになったわって喜んでいたけど、本当に大変だったんだろうな。
あの花をブローチの本体に付けて上からドーム状の透明なカバーをかけて中がしっかり見えるようにしてある。
枯れたり腐ったりしないように加工してくれてるみたいで、すごく可愛く仕上がってたの。
本当にありがとうございました!!
出かける時は服や帽子、鞄とか付けられる所がある時は必ず付けてます!
「リリィ様、ドルトス様からは後程短刀をお持ちしますとの伝言ですよー!」
「ドルトスさんからも!嬉しいー!!」
嬉しい!でも、ドキドキしてきちゃった!!
ふぅ…。
「どうされたのですか?」
「緊張してるのよ…」
『珍しい…槍でも降るのではないか?』
「ちょっと、ロウ失礼よ?」
『まあ精霊の奴らも皆ソワッソワしてたからなー』
そうなんだー。
そうだよね?精霊達にとっても大事な日だものね!
『まぁ、確かに…。間違っても、間違ってはいけない日だからな』
『そうそう。間違っても間違ってはいけない日だ』
何?意味が分からないんだけど…??
間違っても間違える??
「はい、リリィ様できました。今日も美しいです!!」
「あ、はい。ニナありがとう」
前々から思ってたけど子供に美しいって褒め言葉もおかしくね?
まぁ…ニナだし、仕方ないか…。
「では、行きますか!」
リビングに向かうと、皆もソワッソワして待っていた。
「リリィ、準備はできたかい?」
お父様はいつも以上にキラッキラ。
ていうか、今日全体的に世界が眩しいんだけど…。
うーん、目が痛いからもうちょっと落ち着いてくれないかな…。
ん?あれ?普通になったね?
「リリィ、今日は皆で行きますからね。落ち着いて選定式に挑んでちょうだいね?」
「まぁ、リリィなら何が起きても動じなさそうですけどね…」
「確かにね。リュドは大丈夫?緊張してる?」
「義父様、僕は…楽しみです!!」
「そうか、良かったね。よし、じゃあ行こうか」
今日は馬車二台で王宮へ出発です。
今日のオディロンはニコニコ笑顔。
「リリィ、大丈夫だとは思うけれど…今日は特に落ち着いて挑むのよ」
「はい。お母様!任せて下さい!!」
「はぁーーーっ」
あら、盛大な溜息。
ニナはニナで終始ニコニコしてるし。
あードキドキしてきた。
馬車は王宮に到着し、門の中へと入って行く。
オディロンのエスコートで馬車から降ろしてもらい、お父様達と一緒に王宮内の教会へ向かった。
教会までの廊下で王宮勤めの皆さん達からもニコニコと挨拶を受けた。
選定式って皆さんにとっても嬉しい日って事なんだろうなぁ。
「あ、アディ!!」
「リリィ!!」
アディがいたので歩み寄って手を取り合った。
「緊張しますわ…」
「アディ、私もよ…ドキドキが止まらないの!」
大人達は挨拶をし談笑しつつ時間を待つ。
暫くすると扉が開いて、王様、王妃様、テオ、ヴィータが入場してきた。
その後ろから司祭様、王宮魔道士の方々、騎士団長、騎士団の方々が入場する。
「この度は選定の儀おめでとうございます」
司祭様が祭壇の前で話を始めた。
「選定の儀に先立ちまして、ご説明をさせて頂きます。この度、こちらでの選定は…
〈マルタン王国第二王子 ジャン・ヴィクトル・マルタン殿〉〈マルタン王国宰相 ご息女 リリアーヌ・ベルナー殿〉〈マルタン王国宰相 ご子息 リュドヴィック・ベルナー殿〉〈マルタン王国公爵家 ご息女 アデライト・デュボア殿〉以上の4名とする」
「では一人ずつこの水晶・選定具の上に両手を当てて魔力を注いで下さい。注ぐ魔力量は契約精霊には影響はありませんので、少なくても多くても結果は変わりません」
ふぅ…遂にこの時が来たのね!!
心臓がドキドキからバクバクに変わって手汗がヤバイ状態です。
「順番は特に決まっておりませんが、一応男子から、という事にさせて頂きます。では、ヴィクトル殿下どうぞ…」
ヴィータが緊張の面持ちでゴクリと喉を鳴らしながら両手を選定具の上に乗せ魔力を込めた。
フワリと黄色っぽい光が広がってヒラリと精霊が出てきた。
『ヴィータ!ボクは地の属性のオレアドって言うよ。よろしく』
「わぁ…来てくれてありがとう!よろしくね」
普段あまり表情の変わらないヴィータも凄く嬉しそう!オレアドとヴィータ、何か二人は合ってるね。おっとりした感じがね。
「リュドヴィック殿、どうぞ」
リュドもゴクリと喉を鳴らし私の方をチラリと見た。
うん、大丈夫!自信持って!!コクリと頷く。
リュドは少し震える手で選定具の上に両手を乗せ魔力を込める。
ピカピカッと黒いラメのような輝きの後ヒラリと精霊が出てきた。
『オス…リュドヴィック。オレはシェイド。闇の精霊だ』
「シェイド。僕を選んでくれてありがとう!これから宜しくね!!」
『…おう!へへっ。頼んだぜ』
闇の精霊だー、カッコいいじゃん!なんかクール!って感じ。
リュド、良かったね!これから楽しくなるよ!
「次は…アデライト殿から行きましょうか」
ま、どっちが先でもいいもんね!
「では、リリィお先にですわ」
アディにヒラリと手を振ってがんばれーと心の中で応援する。
アディも両手を乗せて、魔力を込める。
キラキラと薄水色の光が広がってヒラリと精霊が出てきた。
『ハァイ!アディ、アタシはニェネ、水の精霊よ。よろしくね!』
「ニェネ!よろしくお願い致しますわ!」
ニェネかー、可愛い…。
皆の精霊達、どの子も可愛いしカッコよかった…。
ふぅ、さて私の番ね!!
「リリアーヌ殿、どうぞ」
「はいっ!!」
うぉーー、堪らんこの緊張感!!
美容師の実技試験よりもコンテストよりも緊張するわー。
ヨシ!!気を引き締めて…リリィ、行っきます!!
両手を選定具の上に乗せて魔力を込める。
ビカビカッと少し下品な色(夜の町のネオンみたい)に光って光って周りが眩しすぎて見えませんが……。
えーと、何となく嫌な予感………。
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