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36. 締めのデザートは何にしますか?

 

 「ーー!これが!!噂の【お好み焼き】!」

 「初めてよ!こんな……美味し過ぎるわ!」

 「うまいな!エールによく合う!!」

 「ワインにも…うん。美味しい」



 口々に感想を言い合いながらパクパクと食べていく皆さん。

お兄様とお母様も一緒に楽しそうに話をしながら食べている。

さすがに、今日はお客様がいるのでいつものお好みパーティーのように皆でつつく事はしていません。


 後で皆で食べてね!


 そして満を持して出してみます!広島焼き!

コレはひっくり返すのに失敗すると中身がバラッバラになっちゃうので、慎重にね!

完成した広島焼きも皆さんに食べてもらいます。

ドキドキ。

どうかな?



「あら、こっちの方がキャベツの甘味が引き立つわね…うん。美味しい!」


「ふむふむ。コレはコレで…白ワインに合います。美味しいですね」


「んむ、コレも旨い、が儂はさっきの方が好みじゃな」


「作り方はこちらが難しそうですが…うーん、オレもさっきの方が食べ応えがあって好みですかね」



 お母様も広島焼きに1票、お兄様は大阪焼きに1票。

成る程、男女(?)で意見が割れました。

私はというと、どっちも大好きーーー!!!です。



「この【お好み焼き】レシピは…」


「ああ、失礼。この【お好み焼き】は我がホッドミミルで売り出す予定なので申し訳ありませんがレシピの公開は()()()()()控えさせて頂きますので」


「くーー!!さすがセバスだな。隣の店舗でやるって言われたら手も足も出せないじゃないか」


「まあ、()()()()()…という事ですね」



 ハハハ…セバス、そんなの初めて聞いたよ?



「ああ、皆もう始めてる?」


 

 遅ればせながらのお父様の登場です。

ん?あれ?後ろにいるのって…



「あぁ、リュドヴィック、皆さんに挨拶を」


「リュドヴィック…です。よろしくおねがいします…」


「リュド!?どうしたの?」


「あ、リリィ。うん、えと…」


「お好みパーティーに誘ったんだ。もう養子の話も大分進んでいるんだけど、とりあえず家にも慣れてもらわないとと思って。いい機会かなと」


「そうなんですね!リュドいらっしゃい!たくさんたべてね!」



 って、リュド固まってるーー!?

あ、そりゃそうか、こんなに沢山の大人に囲まれるのも初めて?だろうし。



「リュド?みなさん、こゆいけど、やさしくておもしろいかたたちばかりだからだいじょうぶよ?」


「ーー。みなさんにもじゅうぶんにおどろかされるけど…フ、フェンリルとヨルムンガンド…」



 あ、そっち?



「よくしってるわねー!ロウとセルよ。わたしのかぞく。リュドもかぞくになるのだからなかよくしてね!」


「せいじゅうが…かぞく……?」


「うん?だって、けいやくしてずっといっしょにいるんだから、かぞくでしょ?」


「そっか……うん…。えと…よろしくおねがいします。ロウさま、セルさま」


『宜しく』

『おう』


「リュドもおこのみやき、たべて!で、どっちがこのみかおしえてちょうだい!」


「え?…ふふ。うん!」



 なんだかリュドの雰囲気が随分と変わった気がする…。

穏やか…?あの時の人を寄せ付けないような壁のようなものを感じなくなったと思う。

話し合いも上手く進んでるってさっき言っていたし、お父様のお陰ね!!



「よし、たべるわよーー!!」




 皆でお好み焼きを食べながら大人はお酒を片手にルーファスさんがチャチャッと作ったシーフードソテーを摘んでいる。

私もこっそりとソテーを食べながらリュドと隣り合って座っている。


 皆の話の内容は、先の大戦の時の事に移っていった。

特に私とリュドは目を輝かせて話を聞いていた。



「あの時はねぇ、南と東からいきなり他国軍が攻めてきたのよねぇ。前国王…トール様も……ふぅ…」

 リンリンさんが遠い目をして語り始めた。



「北からは魔族軍だったな。召喚術士と魔術士は始めはこっちに集められたけどな…」

 ルーファスさんも当時を思い出しているのか、遠い目になった。



「全員総動員でやれる事を各々がやっていった感じじゃった…な」

 ドルトスさんはぐっと噛み締めてからエールをガブ飲みした。



「皆が力を合わせたから退けられたんじゃないか。父上の事は…穏健派だったはずなのに…いきなり前線に向かって行って…止められなかったから…後悔はあるけどね」

 お父様が少し悲しそうに目を伏せた。

 

「…あの時のトール様は、誰にも止められなかったですから…私めでさえ…」

 セバスが珍しく落ち込んだような表情を浮かべている。


「でも! ミシェル様が魔族軍の方に来てくれてからは、南と東の方に人員を割けたから良かったですし、私は王都の守りに徹していましたけど、ピエール様があちこちを鼓舞して回ったのは凄かったですから!」

 オルガさんがグッとワインを一口飲んだ。



「見ていた限りでは、ミシェル様が北に到着して魔族の親玉?を封印した途端に魔族全体が戦意喪失したんだよ。なんだったんだ?ってくらいに呆気なかった…」

 ルーファスさんがお父様を見て皆を見回した。


「…確かに、あの時急に他国軍も戦意喪失したんじゃった。それを見たピエールが先頭に立って血気だった戦闘員達を治めたんじゃ」

 

「ドルトスはあの時王国軍の方に入ってたんだっけ?」


「そうじゃ。セバスと共に走り回っとったが…急にピタリと戦闘が止んでな、なんじゃ?と思ったが…」


「まあ、多分何者かが操っていたんでしょうって結果になったのよね…。今思い返しても気分の良い物じゃなかったわ」

 ふぅ…とリンリンさんが溜息をついた。


「まあ、美味しい料理を食べながらする話ではないな…。店のデザート持ってきたからお子様達はどれがいいかな?選んでおくれ」



 ーー!


 お祖父様の事とか色々気になるしもっと話聞きたいけど…皆この話はここで終わらせようとしてる。


 ルーファスさんの所のデザート…

前回の固めプリンは最高に美味しかったのよね。

よし、空気を変える為にも!私は空気の読める女よ!



「リュド、なにがあるかみにいこう!」



 リュドの手を掴んで、テーブルに並べられたデザートを見る。

どれも綺麗で美味しそう!!

マカロン、モンブラン、アップルパイ…え?アップルパイにはバニラアイスが添えられるの??


 うーん…アイス添え…そそられる。

だけど、アップルパイを全部食べると他の物が入らない…。


 チラリと隣を見るとリュドが興味深そうにデザートを見ていた。


 ……ヨシ。



「リュド!ぜんぶをはんぶんずつにしよう!そうしたらぜんしゅるいたべられるよ!」


 いかにもあなたの為を思って提案してます!って感じ出せてるでしょ?

ん?視線……


 お兄様と目が合った、ジトリと見られた。


エヘヘ、ばれてらー。



「ていうか、リリィがぜんぶたべたいたけでしょ?」


 コッチもばれてらー。


『皆、分かってると思うが……』


 え?マジ?


『まあ、わかるよな』


 …そんなにわかりやすい?


 無言で頷くロウとセル。

いいもんね!今の私は3歳児!何をしても(?)許される…はず?



「あはは、やっぱりリリィよね。和むわ…」


「我が娘ながら本当に…面白く育ってくれたよ」


 

 いいんです!今回の人生なんと言われても私は食べたい物は食べるし、やりたい事はやっていくつもりだからねっ!後悔なんてしない。

ただ、食べ過ぎ注意よ!

これからはリュドもいる事だし、半分ずつっていう手が使えるからね…


 ……ラッキー。









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